「『ヘルダイバー2』は『パルワールド』より売れてない」と煽るユーザーに、『パルワールド』開発元スタッフが苦言。すぐ始まる“対立煽り”にうんざり
あるXユーザーが『パルワールド』と『HELLDIVERS 2』の売上を比較。『HELLDIVERS 2』の売上が“劣っている”といった主張をおこなった。いわば『パルワールド』がほかの作品を貶すために引き合いに出された点に対し、開発元ポケットペアのコミュニティマネージャーであるBucky氏が苦言を呈している。海外メディアGamesRadar+が伝えている。
『パルワールド』は、国内の開発元ポケットペアが手がけるオープンワールドサバイバルクラフトゲームだ。舞台となるのは不思議な生き物パルたちが暮らすパルパゴス島。シングルプレイのほかマルチプレイにも対応しており、プレイヤーはパルを捕まえてさまざまなかたちで利用しながら島で生活し、冒険を繰り広げていく。
本作は1月19日にPC(Steam/Microsoft Store)/Xbox One/Xbox Series X|S向けに早期アクセス配信開始。SteamDBによれば1月末ごろに最大同時接続プレイヤー数となる約210万人を記録しており、『PUBG: BATTLEGROUNDS』に次ぐSteam史上2位の記録を樹立した。発売後1か月でSteam版の売上が1500万本を突破するなど、早期アクセス配信開始直後から高い人気を博する作品だ。
一方、『HELLDIVERS 2』は、『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。開発はArrowhead Game Studiosが手がけている。本作は最大4人でのオンライン協力プレイに対応。プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、宇宙生物のムシ(ターミニッド)や、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。
『HELLDIVERS 2』はPC(Steam)/PS5向けに2月8日に発売。Steamではピーク時の同時接続プレイヤー数が45万8709人を記録する絶好調の船出を見せた(SteamDB)。開発元が想定外とする盛況ぶりから、一時サーバー問題も発生し対応されるほどであった。先日のソニーグループ株式会社の連結業績説明会においては、5月4日までのPC(Steam)版とPS5版合算の売上が1200万本に到達していたことが明かされた。
そんな両作の売上に関してあるユーザーが投じたポストについて、ポケットペアのコミュニティマネージャーを務めるBucky氏が苦言を呈している。ポストにおいてユーザーは『パルワールド』の売上と『HELLDIVERS 2』の売上を比較。『パルワールド』では先述のとおり1か月間でSteam版が1500万本を売り上げたのに対し、『HELLDIVERS 2』では発売後約3か月での売上がPC(Steam)版とPS5版の合算で1200万本であるとしている。つまり『パルワールド』に比べて『HELLDIVERS 2』の売上が“劣っている”といった主張のようだ。
先述のとおり両作はリリースされた時期が近く、またいずれも高い人気を博する作品だ。そしてそれぞれPC向けに展開されている点は共通ながら、コンソール向けには現時点では独占販売されている。この点から一部ユーザー間のいわゆる「ゲーム機戦争」のようなやりとりに、『パルワールド』と『HELLDIVERS 2』が引き合いに出されている状況があるようだ。つまり自分の好きな、あるいは所有するゲーム機の独占タイトルの実績を称賛するにとどまらず、ほかのゲーム機の独占タイトルを蔑んで対立を煽るような意見が投じられている。
Bucky氏は上述のポストに向けて「この投稿も返信も全部うんざりだ」と反応。2010年ごろにWeb上で多く見られた「console war」のようないいね稼ぎに、自分が携わっているゲームが利用されていることが「心底がっかりだ」と吐露している。また「“こんなこと”をしている暇があったらゲームをすればいいのに……」と綴り、ゲーム機戦争じみた投稿への苦言を呈した。
なおBucky氏は3月にも、別のユーザーが投じたゲーム機戦争のような対立を煽る投稿に反応を示していた。こちらのユーザーはSteamでの『HELLDIVERS 2』の同時接続プレイヤー数が20万人以上を記録していると示しつつ、プレイヤー数が落ち着きを見せている『パルワールド』を“忘れられたゲーム”のように言及。Bucky氏はこちらの投稿にも「今更ゲーム機戦争じみた投稿をするのか」と驚きを見せつつ、対立を煽るのではなく好きなゲームを遊んでほしいとしていた。
いずれにせよ、コンソールで独占状態のゲームを比較して対立を煽る、ゲーム機戦争のようなやりとりが一部ユーザー間ではおこなわれているようだ。一方、直近でそうしたやりとりにおいて引き合いに出されている『パルワールド』のコミュニティマネージャーを務めるBucky氏としては、対立を煽る意図では本作に言及しないでほしいのだろう。『パルワールド』を貶すにせよ褒めるにせよ、そうした投稿に対しては苦言を呈してきたかたちだ。
昨今では業界の各社がマルチプラットフォーム展開に舵を切っている傾向も見られ、ユーザー間でゲーム機戦争のような対立が煽られることは比較的少なくなったといえる。一方でリリース時期が重なり、かつ話題作となった『パルワールド』と『HELLDIVERS 2』は、依然としてそうした論争を続ける一部ユーザーから引き合い出されている様子。今回は開発元スタッフから問題視される事態となった。ゲームに携わるスタッフとしては作品の売上の優劣を比較したり“貶し合い”をしたりせず、純粋に好きな作品を楽しんでほしい想いがあるのだろう。