ヒット中メトロイドヴァニア『ANIMAL WELL』開発者いわく、「考えたステージの半分以上がボツになった」。“メトロイドヴァニアゆえ”の気の遠くなる超反復開発
現在人気を博している『ANIMAL WELL』について、開発者がその開発プロセスについて語った。同作開発にあたっては、デザインした部屋(ステージ)を大量に破棄するなどの苦労があったそうだ。海外誌Edge Magazineにおけるインタビュー内容を、GamesRadar+が伝えている。
『ANIMAL WELL』は個人開発者のBilly Basso氏が手がけた、メトロイドヴァニアアクションゲームだ。プレイヤーは入り組んだ迷宮を探索し、パズルを解きながら多数の部屋を踏破していく。本作の特徴は、プレイヤーへの説明を極力省き、戦闘よりも謎解きを主体としたゲームプレイだろう。プレイヤーは迷宮内に散りばめられた新たな能力もたらすアイテムと、自身の知恵を駆使して、迷宮に立ち向かっていくことになる。
本作は5月9日にPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch向けに発売。その後にはSteamにて最大同時接続プレイヤー数8000人を超える盛況となった。評価としても、本稿執筆時点でSteamユーザーレビュー5500件以上を集め、うち96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。マップ・部屋の緻密な設計や、大量に散りばめられた隠し要素を探索する楽しさなどが評価されているようだ。
そんな本作の開発にあたっての苦労を、開発者のBasso氏がEdge Magazineに向けて語っている。同氏によれば、メトロイドヴァニアゲームのデザインは、リニアなアクションゲームを作るより遥かに困難だったという。
Basso氏はデザインの手順として、まず独立したマップセクションとして遊べるかたちで、「特定のアイテムを利用するいくつかのパズル」を設計したそうだ。その中で発生した“プレイヤーに教えておきたい物事”なども盛り込んでデザインを進めていくうちに、そのマップセクションに対して残りのマップが「根を張っていく(grow roots on it)」という。そうして、新しい複数の部屋をデザインして全体のゲーム設計に溶け込ませていくのだろう。
しかし、Basso氏によれば新しい部屋の追加は「ただの始まりに過ぎない」という。追加した各セクションは5、6回は繰り返しの通しプレイによる検証が必要となるとのこと。また、Basso氏が部屋を追加した後に、そのパズルに影響を与えうる新しいアイテムを思いつく場合もあるだろう。そうした場合には、影響を確かめるためにマップ全体をプレイする必要が生じたとのこと。
そして開発の終盤は、「超反復的(super-iterative)」だったという。『ANIMAL WELL』の全体マップは16×16マスで構成されており、およそ256部屋が存在することになる。しかし、Basso氏によれば、開発中には「およそその倍の量の部屋をデザインしていた」とのこと。
同氏によれば、開発のなかでは500個以上の部屋をデザインしたものの、その半数をカットしたり、元がわからないくらい改変したりしたとのこと。気の遠くなるようなテストとデザインの繰り返しのなかで、多数のステージが消えていったのだろう。なお、本作開発にあたっては7年近い期間を費やしたと伝えられている。個人開発者による執念の力作が、多くの人に高く評価されているわけだ。
『ANIMAL WELL』はPC(Steam)/PS5/Nintendo Switchにて発売中。現在SteamとNintendo Switch向けには、定価2950円のところ、10%オフの2655円で購入可能だ(いずれも税込)。セール期間はNintendo Switch版が5月23日23時59分まで、Steam版が、SteamDBによると日本時間5月24日2時までとなる見込みだ。