MMOライフシム『Palia』開発元、従業員の約4割をレイオフしていた。“9か月で3回”の人員削減を受け、本作の展開に懸念も


MMOライフシム『Palia(パリア)』開発元のSingularity 6 Corporationが5月16日、従業員数の40%にあたる36人の従業員をレイオフしていたことが報道された。海外メディアGamesRadar+が報じている。

『Palia』は基本プレイ無料のオープンワールドMMOライフシムゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam/公式ストア)/Nintendo Switch。プレイヤーはファンタジー世界の住人となり、平和な日々を送る。探索して資源を集めてクラフトしたり、家を作って飾り付けをしたり、農業や料理を楽しんだりすることができる。本作にプレイヤーを急がせるような競争要素はなく、ほかのプレイヤーたちも行き交うワールドでのんびりと暮らしていくゲームプレイが特徴となっている。

本作は2023年8月に公式サイトにてPC版がリリース。その後同年12月にNintendo Switch版が発売され、今年3月26日にSteam版がリリースされた。配信当時は多くのプレイヤーを集め、Steam版の同時接続プレイヤー数はピーク時で約1万2000人を記録(SteamDB)。


また本稿執筆時点ではSteamユーザーレビューで約7200件中75%が好評とする「やや好評」ステータスとなっている。本作の持ち味であるゆったりとしたゲームプレイや、Pay to Winではない課金要素とオープンにユーザーの意見を取り入れる運営の姿勢などが評価を受けているようだ。一方でリリース当初から問題とされていたコンテンツの不足やバグの存在が引き続き課題点として指摘されている。Steam版のリリースからも複数回のアップデートが行われているものの、本作の抱える問題を完全に払拭するには至っていない状況のようだ。

そんな中Polygon誌のNicole Carpenter氏が報じた内容によると、Singularity 6 Corporationは現地時間5月16日に36人の従業員を解雇したという。これは同スタジオの従業員数の約40%にあたる数字のようだ。これまでSingularity 6 Corporationは4月に49人の従業員を解雇し、2023年9月には小規模なレイオフを実施している。つまり2023年9月から2024年5月までのわずか9ヶ月で、実に3回の人員削減をおこなったことになる。

Steam公式ニュースハブおよび『Palia』公式サイトのニュースページで発表された内容によると、『Palia』はまだオープンベータ段階にあると明言されている。またSingularity 6 Corporationはパッチノートなどで本作のアップデートに意欲を見せていたものの、その中でレイオフによる大幅な人員削減が報道されたかたち。『Palia』の将来的な展望、および今後の運営状況にも懸念の声が見られる状況だ。


ゲーム業界では今年に入っても欧米の企業を中心に従業員のレイオフが相次いで実施されている。Activision BlizzardやElectronic Artsといった大手企業・傘下スタジオでのレイオフも後を絶たない状況だ。小規模な開発元でも影響を受ける例が見られ、開発中のプロジェクト中止に至る例も見られる。今回大幅な人員削減がおこなわれたというSingularity 6 Corporationでも、今後の『Palia』の開発への影響は注目されるところだろう。