チャールズ英国王の新肖像画、『エルデンリング』っぽいとして妙に注目される。“強ボス感”がにじみ出るウィンザー朝第5代国王
イギリス王室は5月15日、チャールズ3世の肖像画を公開した。フォーマルな肖像画としては珍しい作風となっており、“ダーク”な印象を受けるとしてゲーマーからも注目を集めているようだ。
チャールズ3世は、2022年9月のエリザベス2世の崩御に伴い、ウィンザー朝第5代国王として即位。昨年5月にはウェストミンスター寺院にて戴冠式が執り行われた。今回、戴冠式以来初となるチャールズ3世の公式肖像画が公開された。
公開された肖像画はキャンバスを赤々とした力強い筆致が覆いつくしている点が印象的で、肖像画として珍しい作風といえる。斬新さもある肖像画にはさっそく世界中の注目が集まっているものの、中には肖像画を『エルデンリング』などのゲームになぞらえる一風変わった反応も散見される。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけるアクションRPGだ。来月6月21日は、初のDLCとなる「Shadow of the Erdtree」がリリース予定となっている。本作の制作には、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作となる小説「氷と炎の歌」などを執筆したジョージ・R・R・マーティン氏が参加。同氏が『エルデンリング』の下地を支える世界観設定を手がけている。
そんな『エルデンリング』で描かれるのは、ダークファンタジーな世界観だ。ファンタジー作品として豪華絢爛なアートワークもある一方、チャールズ3世の公式肖像画と比べられているのは本作の“ダーク”な部分のようだ。たとえばNaughty Dogなどでナラティブデザイナーを務めてきた開発者のJosh Scherr氏は、『エルデンリング』における「火山館」の君主ライカードの肖像画をチャールズ3世の公式肖像画と並べてポスト。「『エルデンリング』の新しいアートが公開された」とのジョークを述べている。たしかにこうして並べると、チャールズ3世の公式肖像画にも荘厳さとほんのりと禍々しさが感じられ、ゲームの“ボス”のような雰囲気さえあるかもしれない。
またあるユーザーはDLC「Shadow of the Erdtree」のトレイラーにおけるゲーム内の肖像画が登場するシーンを、チャールズ3世の肖像画に勝手に差し替え。ダークな雰囲気の場所がさまざま映し出される流れでもチャールズ3世の肖像画が違和感なく差し込まれており、こちらも『エルデンリング』の世界観との妙な親和性を感じられる。また肖像画を『Doom』などほかのゲーム中に勝手に登場させるユーザーも見られ、フォーマルな肖像画としては珍しいダークさにも注目が寄せられているようだ。
そんなチャールズ3世の肖像画を手がけたのは、画家のJonathan Yeo氏。ポルノ雑誌の切れ端を組み合わせたコラージュでジョージ・W・ブッシュ元米国大統領の肖像画を描くなど、風変わりなアートでも知られる人物だ。一方で過去にも、カミラ王妃やフィリップ王配といったイギリスの王族の肖像画を手がけてきた。Yeo氏がBBCに伝えるところによると、今回のチャールズ3世の肖像画では、過去の公式肖像画の伝統を参考にしつつも、少し違う作風を取り入れたそうだ。また、特徴的かつ過去との決別になるような作品を目指しているとのこと。
なおYeo氏はもし今回の絵が反逆罪とみなされて処刑されても、肖像画家として妥当な死に方だろうといったジョークも述べており、“尖った”作風を承知で描き上げた背景もあるようだ。ちなみにカミラ王妃は今回の肖像画を見て「Yes, you’ve got him(チャールズ3世を見事に描き上げている)」とYeo氏を称賛したとされ、少なくとも王室からの評価は上々のようだ。
いずれにせよ、斬新な作風で描かれたチャールズ3世の肖像画からは、力強さや荘厳さなどさまざまな印象を受ける。色使いからほんのり禍々しさも感じられることからか、『エルデンリング』などのダークな世界観とも奇妙な相性の良さをみせており、注目を集めているかたちだ。
『エルデンリング』はPC(Steam)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。DLC「Shadow of the Erdtree」は、6月21日発売予定だ。
なおチャールズ3世の肖像画は現地時間5月16日から6月14日までロンドンのPhilip Mould Galleryにて展示予定。その後8月末からはDrapers’ Hallに飾られる見込みだ。