昨日5月7日、マイクロソフトが傘下のBethesda Softworks(以下、Bethesda)にて人員削減を実施することが報じられた。さらに、Bethesdaおよびゼニマックス・メディアが擁する4つのスタジオが閉鎖されることが発表・報道されている。閉鎖となったのはTango GameworksとArkane Austin、Alpha Dog Games、Roundhouse Studiosだ。このうちArkane Austinはマルチ対応オープンワールドFPS『Redfall』のアップデート開発を進めていた最中とみられ、閉鎖には驚きや失望も寄せられている。
Arkane Austinは、ゼニマックス・メディア傘下のArkane Studiosのスタジオのひとつで、アメリカ・テキサスに拠点を置いている。直近では2023年5月に『Redfall』をリリースしていた。なおArkane Studiosは、フランスのリヨンにも別のスタジオであるArkane Lyonを構えており、こちらはステルスアクションゲーム『Dishonored』シリーズやアクションFPS『DEATHLOOP』などを手がけてきた。
Arkane Austinの閉鎖に際して、同スタジオの手がけていた『Redfall』の開発が中止となることが伝えられている。サーバーは維持されるものの、今後アップデートが実施される予定もないという。なお本作ではHero Pass所有者向けに新たなプレイアブルキャラ2名が提供予定であったが、こちらも実装は中止される模様。代わりに「アップグレード相当の特典(the value of the upgrade)」が提供される見込み。返金となるのか、ゲーム内通貨での提供となるのかは本稿執筆時点で不明だ。
なおIGNが伝えるところによると、Hero Pass向けの新プレイアブルキャラは今年のハロウィンシーズンの実装を目指して開発が続けられていたという。さらに同誌によれば、今月5月にも大型アップデートが計画されていたとのこと。同アップデートには、本作のディレクターであるHarvey Smith氏が過去にEurogamerのインタビューにて開発中であると明かしていたオフラインモードも含まれていたとみられている。『Redfall』に向けたアップデートやDLC開発をおこなっていた最中に閉鎖が決定されたとみられ、スタジオにとっても寝耳に水の出来事だったかもしれない。
ちなみに『Redfall』は、Arkane Austinの新作として、発売前には一定の前評判を獲得していた。一方で発売後にはバグの多さやゲームの品質面などが課題点として指摘され、不評が集まる結果に。昨年にはXbox Game Studiosの責任者であるMatt Booty氏や、マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏など経営陣の顔を務める人物たちが直々に改善を進めていく方針を伝えていた。そういった経緯があったにも関わらず今回Arkane Austinが閉鎖され『Redfall』の開発が打ち切られる判断がおこなわれた点について、ユーザー間では失望の声も広がっている。
このほか先述のArkane Lyonにてスタジオディレクターや共同クリエイティブディレクターを務めるDinga Bakaba氏も、Arkane Austin閉鎖について言及している。同氏にとっても驚きの出来事だったようで、経営陣の決定を「本当にひどい(This is absolutely terrible)」と批判。また同氏は、ゲーム開発はアーティストやエンターテイナーたちが文化・娯楽を生み出す産業であるとの考えを述べつつ、競争主義的な職場環境をもたらしうる経営判断への懸念を示している。
突然報道・発表されたBethesdaおよびゼニマックス・メディア傘下の4つのスタジオの閉鎖。Arkane Austinのほか、『Ghostwire: Tokyo』や『Hi-Fi RUSH』の開発元Tango Gameworksなど、人気作を手がけたスタジオの突然の閉鎖を受けて業界人からも驚きと落胆の声が寄せられている。報道や閉鎖されたスタジオのスタッフの投稿なども見るに、関係者にとっても寝耳に水の出来事だった様子だ。またXbox Game StudiosやBethesdaはさまざまなスタジオを擁しており、ほかのスタジオも実績に関わらず突然閉鎖される可能性があるのではないかといった懸念も広がっている。
【UPDATE 2024/5/8 12:43】
Arkane Austinの開発作品などについての記述を修正