『ポケモンGO』ウミディグダ欲しさに“偽ビーチ”が作り出される。ゴルフ場や駐車場などが勝手に砂浜になるマップデータ荒らし発生

Nianticは4月22日、『ポケモンGO』に向けてバイオームを実装した。その結果、ウミディグダを捕獲しようとする一部ユーザーによってさまざまな場所が勝手に“ビーチ化”してしまっているようだ。

Nianticは4月22日、『ポケモンGO』に向けて“「今いる場所」を再発見”と“カントー地方ふたたび”と称したアップデートを実施。同アップデートでは、バイオームが実装され、ビジュアルだけでなく、実際の環境に応じたポケモンが登場するようになった。加えて新ポケモンとして「ウミディグダ」「ウミトリオ」が初登場した。ウミディグダ実装に伴い、同ポケモンを捕獲しようとする一部ユーザーによってさまざまな場所が勝手に“ビーチ化”してしまっているようだ。kotakuなどが報じている。

『ポケモンGO』は、任天堂とNianticが手がける位置情報ゲームだ。本作では現実世界とリンクしたフィールドを実際に歩いて探索し、出現するポケモンたちを捕まえることを目指していく。ほかにもポケモンを育成してトレーナー同士でバトルしたり、ポケモンの交換をしたりなどさまざまな楽しみ方ができる作品だ。


Nianticは4月16日、本作に向けて“『ポケモンGO』を再発見!”をテーマとしたアップデートを発表。3段階のアップデートが予定されており、4月22日には第2弾となる“「今いる場所」を再発見”と“カントー地方ふたたび”と称したアップデートが実施された。本アップデートでは、ゲーム内のビジュアルに変更が入り、ゲーム内の環境が現実の環境に即した見た目になった。それに伴い、ポケモンたちが生息しているとされる環境にあわせて登場するようになった。たとえば森バイオームではフシギダネやキャタピーといったポケモンが出現。一方山ではサンドやズバットが登場する、といった具合だ。

そして今回新たに登場したウミディグダは、ビーチバイオームに登場するとされている。SNS上でも、海辺や砂浜での遭遇例が相次いでいる。こうして現実世界の環境にリンクしたポケモンが登場することによって、現実世界に本当にポケモンが生息しているように感じられるアップデートといえるだろう。そんな中、ウミディグダが砂浜や水辺といった場所以外にも出現しているという報告が散見される。


この問題は、OpenStreetMapのデータが書き換えられてしまっていることが原因とみられる。OpenStreetMap とは、2004年より開始されている、オープンデータとして誰でも利用/編集可能な地図データを作成する共同プロジェクトだ。このデータは『ポケモンGO』の地形情報データとして使われており、ほかにも『Ingress』『Pikmin Bloom』などでもOpenStreetMapのデータが用いられている。

このデータがユーザーによって正しくないものに書き換えられているようだ。OpenStreetMapのコミュニティーフォーラムでは、「偽ビーチに注意(Beware of fake beaches)」として、地形情報の不当な書き換えについて注意喚起するスレッドが建てられている。

フォーラムによれば、イタリアなどではすでに“偽ビーチ”が追加された事例が確認されているという。追加された“偽ビーチ”のうちのひとつがモンスターボールのかたちをしていたことからも、一連の“偽ビーチ”追加が、「ウミディグダ欲しさ」におこなわれていると推察されているようだ。

ほかにもメキシコのケレタロでも、最近ビーチが増えたという。ケレタロはメキシコの中央部、標高約1800mに位置している都市だ。地図を確認しても海が遠く、「ビーチ」に対応する場所はないように見える。そうした場所では、砂浜などがなくウミディグダに会うことが難しいため、どうしてもウミディグダに遭遇したいユーザーによって不当に“ビーチ”とする位置情報が追加されたのだろう。

ケレタロ(赤枠)を中心としたメキシコの地図(Googleマップ)


ちなみにOpenStreetMapにおける『ポケモンGO』の攻略目的とみられる地形情報データの不当な変更は今回が初めてではない。本作では、野生のポケモン目当てに、家の周りにたくさん架空の“歩道”を追加したり、“公園”を増やしたりという行為が報告されていた。今回の“偽ビーチ”も、同様の事例といえる。

今回はアップデートにより、現実の環境とポケモンの生息地がリンクするようになった。このことにより、身の回りになかなかお目当てのポケモンが登場しない、という状況になったユーザーもいるだろう。そのため、遠出をせずに特定のポケモンに出会いたい一部ユーザーによってOpenStreetMapの地形データが不当に書き換えられたとみられる。なお現時点ではすでに、そうした“偽ビーチ”を生み出しているユーザーが特定されつつあるようだ。過去にもこうした不当な編集がおこなわれていたが、それは速やかに元に戻され、編集をおこなったユーザーは報告/ブロックされていた。今回の騒動もおそらくそのように対処されていくものと思われる。

ポケモンGO』は、iOS/Android向けに配信中。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

Articles: 908