難しすぎる無料音ゲー『ポリリリリズム』開発者も想定外の大人気。クリア不能と思われた“化け物”向けステージが200人以上に突破されて驚愕
国内のゲーム制作者のなまり氏は4月28日、リズムゲーム『ポリリリリズム/Polylylyrhythm』(以下、ポリリリリズム)を無料公開した。なまり氏は「ありえん難しいリズムゲーム」として本作を制作したが、想定の100倍の数のプレイヤーが集まり、事実上の負けイベントすら攻略されてしまったとして、驚きを示している。
『ポリリリリズム』はポリリズムをモチーフとしたリズムゲームだ。ポリリズムとは、複数の異なるリズムが同時に演奏される、音楽の技法である。本作『ポリリリリズム』では、2拍子や3拍子など異なる拍子を、ひとりで同時に演奏することになる。正しく拍を叩くことができればゲージが上昇していくが、リズムを誤るとゲージが減少。ゲージがゼロになるとゲームオーバーとなる。リズムが徐々に複雑になっていくなかで、長く小節を演奏してスコアを残すことを目指す。
複雑なリズムを正確に奏で続けることが求められる本作であるが、開発者の想定をはるかに超えて攻略が進められているようだ。本作を制作したなまり氏はXの同氏アカウントにて、「ポリリリリズム誤算集」としたポストを公開。プレイヤー数が想定の100倍いたことや、上級者が200小節を超えることを想定できていなかったことなど、想定外だったという出来事の数々を明かしている。
なまり氏が公開翌日にあたる4月29日に投稿したブログ記事によると、ニッチなゲームなので本作のプレイ人数は50人ぐらいになると思っていたそうだ。一方、本稿執筆時点にて本作のハイスコアランキングを確認すると、累計1万人以上のプレイヤーが存在。開発時は想定されていなかったという200小節を超えるスコアを残しているプレイヤーも、200名以上存在している。さらにランキングトップのプレイヤーは、なんと500小節を超えるスコアを叩きだしている。なまり氏は公開翌日に数名が200小節を突破した時点で「化け物いっぱい」と驚きを示していたものの、そこからさらに攻略が進められているかたちとなっている。
X上では多くのプレイヤーたちが「#ポリリリリズム」タグを用いて、さまざまな工夫と努力で本作を攻略しているところを投稿している。リズムを譜面に書き起こしたり、無意識に叩けるようになるまで反復練習したりと、それぞれの手法で研鑽を積んでいるようだ。そうした各プレイヤーの情熱が、制作者を驚かせるほどのスコアの数々に繋がっているのだろう。
本作の後半のステージはランダム生成となっており、7拍子や11拍子など複雑な拍子が入り混じったリズムを、5つ同時に奏でていくことになる。上述のブログによると、開発者のなまり氏は音ゲーがあまり上手くないとのことで、後半ステージはテストプレイが不可能だったという。そのため、バランス調整は勘でおこなったとのこと。全体として、音ゲー初心者でも頑張ればある程度プレイできる調整を目指したが、難しくしすぎてしまったかもしれないと思っていたそうだ。結果的には、同氏が“勘”で調整した難関ステージを、多くのプレイヤーが熱中しつつ攻略するかたちとなった。
ちなみに、本作は4日で作り上げられたとのことだ。開発者のなまり氏が、イギリスに拠点を置くアーティスト、ジェイコブ・コリアー氏のポリリズム演奏動画に影響を受け、本作の開発を始めたそうだ。また本作のサウンド面は、国内の作曲家すなじろ氏が担当しているという。ユニークなコンセプトと心地よいサウンドが組み合わさった本作の魅力が、多くのプレイヤーをひきつけることになっているのだろう。
なお本作が想定以上に攻略されていることを受け、開発者のなまり氏は新要素の追加を検討しているという。6つめ以上のリズムの追加やテンポの変化など、高難度要素の導入が検討されているようだ。さらなる高難度化が視野に入っている本作の攻略は、はたしてどこまで進んでいくのか。今後の展開も注目されるところだ。
『ポリリリリズム/Polylylyrhythm』はPC(unityroom/itch.io)向けに無料公開中だ。itch.ioではユーザーが価格を決定するName your own price方式が採用されているので、開発者を応援したいという方はこちらで気持ちを示すのもよいだろう。