PS5/Xbox Series X|S向け半導体手がけるAMD、ゲーム事業は大幅不振。GPU「Radeon」シリーズも振るわず、前年同期比の約半分に減収

 

AMDは現地時間4月30日、2024年第1四半期(2024年1月~3月)の決算報告を実施。このなかでは同社のゲーミング事業が前年同期比や前四半期比で大きく落ち込んでいることが明かされている。


AMDは米国に拠点を置く半導体企業だ。PC向けにはCPU「Ryzen」シリーズやGPU「Radeon」シリーズといったブランドを展開していることで知られる。なおPS4のSoCを手がけたことを皮切りに、2013年に同社ではクライアントごとのオーダーメイドのプロセッサ開発をおこなうSemi-Custom Business Unitが設立。以来、ゲーム機などさまざまな製品に向けたSoCの開発を手がけている。現在家庭用ゲーム機向けには、PS5・Xbox Series X|S・Steam DeckなどでAMD製のSoCが採用されている。

今回AMDは、2024年第1四半期の決算報告を実施した。このなかではデータセンター向け事業の成長なども伝えられた一方、ゲーミング事業の収益が9億2200万ドルであり、前年同期比では48%減、前四半期比では33%減となったことが明かされた。Semi-Custom Business Unitの減収やRadeonシリーズのGPUの売上減少が原因として挙げられている。

また海外メディアVentureBeatがAMD のCFO(最高財務責任者)を務めるJean Hu氏のコメントとして伝えるところによると、ゲーミング事業でのAMD製品の需要は大きく落ち込んでいる状況があるという。また同氏によれば、今年の第2四半期も(ゲーミング事業の収益は前年同期比で)30%以上減になることが見込まれており、下期は上期をさらに下回る予想もあるとのこと。同社経営陣は2024年のゲーミング事業についても、かなり低い見立てをもっているようだ。


こういった見立ての背景にはコンソール市場のライフサイクルも影響しているかもしれない。たとえばAMD製のSoCが採用されているPS5では2022年末から2023年にかけて品薄状況が改善。ソニーグループの2023年度第3四半期の連結業績発表によれば、PS5の販売台数は第1四半期~第3四半期にかけてそれぞれ前年同期比から売上を伸ばし、昨年12月時点で累計販売台数は5000万台を突破していた(資料PDF)。

一方で2023年度の販売台数見通しは、当初の目標販売台数であった2500万台から2100万台に引き下げ。2024年度についても発売から5年目にさしかかりコンソールとしてのライフサイクルの後半に入るとされ、緩やかな販売台数減少に向かっていくとソニーグループは見込んでいる。

AMD製のSoCが採用されたPS5やXbox Series X|Sは発売からそれぞれ約3年半を迎える。そうして販売台数の減少傾向も見込まれており、AMDのゲーミング事業の低迷に繋がっているのかもしれない。またSteamユーザーのハードウェア使用率を見るに、PCゲーマー間では引き続きNVIDIA製のGPUのシェア率が圧倒的に高い傾向もみられる。今後AMDのゲーミング事業がどのように舵を切っていくのかは注目されるところだろう。