『マリオカートDS』のとあるコースで「約18年越しの新ショートカット」発見。走者がTASを手動再現し、世界記録更新ラッシュ

 
Image Credit: ZumoDePapaya on YouTube

『マリオカートDS』のとあるコースにて、発売から約18年越しに新たなショートカットが発見されたという。ツールによって実現されたショートカットを、本作スピードラン走者が人力で再現。世界記録の更新ラッシュが起きている。

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『マリオカートDS』は、任天堂が2005年にリリースした『マリオカート』シリーズ第5作。ワールドワイドで2360万本を売り上げたヒット作だ。リリースから18年以上が経つ現在でも、ほかの『マリオカート』シリーズ作品と並んで、スピードランコミュニティを中心に根強い人気を誇っている。

本作のコース「ワルイージピンボール」において4月13日、久方ぶりの世界記録が樹立された。達成したのはスピードラン走者のiMathll(Robert McKinnon)氏で、1ラップ32秒069を記録。翌日には3ラップ1分49秒911の記録を達成している。なお、ショートカット利用/PRB(速度キープテクニック)利用カテゴリーの記録となる。

それまで、『マリオカートDS』における同コースの世界記録は、1ラップ/3ラップいずれも日本人走者のTaiga氏が保持。同氏は昨年7月に1ラップ38秒106、3ラップ1分55秒558の記録(いずれもショートカット・PBR不使用)を打ち立てており、現在に至るまで破られていなかった(mkwrs.com)。特に同コース1ラップの記録は、2008年に走者のBen氏による38秒台が達成されて以降、0.001秒の争いが約16年間にわたり続けられてきた場。それが、今回一気に6秒以上短縮されたのだ。

この大幅短縮をもたらしたのが、本作発売から18年以上を経て発見された「ワルイージピンボール」におけるショートカットである。上述のiMathll氏の動画を見てみると、コース中盤のジャンプ台から飛び出した後、ガードレールをかすめて再ジャンプ。本来通るはずだったレーンを大胆にスキップして、ピンボール台のフィールドにあたる部分に着地している。これが、今回見出され、世界記録の大幅短縮に繋がったショートカットだ。

同ショートカット自体は、今回の記録更新に先駆けて、本作のTASコミュニティにより発見されていたようだ。TASとは、ツールを用いることにより、ゲーム内で人の手では再現の難しい挙動を起こしたりする手法のこと。4月11日には、ZumoDePapaya氏によるTASを利用した新ショートカットを紹介する動画が公開。4月13日にはGuanlongX氏によるTAS利用高速ランの動画が公開されており、両者ともiMathll氏の前述の動画にてショートカットの発見者として紹介されている。この両名は、複数の発見に寄与しているようだ。

Image Credit: ZumoDePapaya on YouTube


今回の新ショートカット発見により、「ワルイージピンボール」を巡る世界記録ラッシュが起きている。1ラップ/3ラップの記録いずれもここ数日間で盛んに更新されており、本稿執筆時点でデータベースサイトMario Kart World Recordsに登録されている世界記録は、1ラップがMKDasher氏の29秒682、3ラップがmarisa氏の1分42秒028となっている。なお、前述のTaiga氏もさっそく1ラップ29秒752と30秒の大台を切る好記録を見せている。

なお、『マリオカート』シリーズにおいては、以前にも今回のようにTASでショートカットが見出されスピードラン走者が再現するケースがあった(連記事)。TASによる研究と熟練の走者たちによる再現で、これからもさらなる高みへの研鑽が続けられていくことだろう。


貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。