『ファイナルファンタジーXVI』開発者、「若い人にも遊んでもらう」目標をある程度達成できたと喜ぶ。長寿シリーズが掲げる“プレイヤー層若返り”の取り組み

『ファイナルファンタジーXVI』にて、DLCのディレクターを務める鯨岡武生氏に向けて、海外メディアPush Squareがインタビューを実施。10代から20代のプレイヤーに多く遊んでもらえたと語られている。

『ファイナルファンタジーXVI』(以下、FF16)にて、ダウンロードコンテンツ(DLC)のディレクターを務める鯨岡武生氏に向けて、海外メディアPush Squareがインタビューを実施。インタビューでは同氏により、本作が10代から20代のプレイヤーに多く遊んでもらうことができたといった手応えが語られている。


『FF16』は、『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作だ。舞台はクリスタルの加護を受けし大地ヴァリスゼア。この地で人々は、クリスタルの巨塊“マザークリスタル”が供給するエーテルを活用して暮らしていた。それぞれの国がマザークリスタルを保有することで均衡が保たれていたものの、世界が“黒の一帯”に蝕まれることで、そのバランスが崩れつつあった。主人公となるロザリア公国の第一王子クライヴ・ロズフィールドは、弟と共にナイトとして鍛錬を続けていたが、とある悲劇をきっかけに世界の真相に迫ることとなる。

本作は2023年9月に2種類の有料DLCが開発中であることが発表され、12月には第1弾「Echoes of the Fallen《空の残響》」が発表および配信された。第2弾DLCである「The Rising Tide《海の慟哭》」(以下、The Rising Tide)は今年4月18日配信開始予定。「The Rising Tide」では、クライヴのもとに手紙が届く。手紙には水の召喚獣リヴァイアサンと、そのドミナントを救って欲しいという言葉が記されていた。蒼穹広がる秘められし地、ミシディアで、クライヴたちはある一族をめぐる悲劇と、隠された歴史を知ることになる。


今回海外メディアPush Squareは、この「The Rising Tide」発売に先駆け、DLCのディレクターを務める鯨岡武生氏にインタビューを実施。鯨岡氏は、本編ではリードコンバットデザイナーを担当していた人物だ。同氏はインタビューにて、近年の『ファイナルファンタジー』シリーズのプレイヤーの年齢層が高い傾向にあることに触れた。そのうえで、本作では、10代から20代のユーザーが多くプレイしたという調査結果が得られたとのこと。シリーズ新作を幅広い年齢層に遊んでもらうという、本作の目標をある程度達成できたとして、手ごたえを示している。

この“若年層への訴求”については、本作ならびに『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサーを務めている吉田直樹氏も2022年にコミックDAYSのインタビューにて語っていた。同氏によると、10代後半から20代後半ぐらいまでのユーザーについて、『ファイナルファンタジー』の名前は聞いたことがあっても、実際にプレイしたことのない人が多かったという。

加えて近年のゲームではアクションベースのゲームが増えており、ターン制のコマンドバトルになじみがなくなりつつあるとの見解を述べていた。そのため本作のバトルもアクションベースにしたそうで、幅広い年齢層、特に若年層への訴求をテーマとして開発されていたことがうかがえる。今回の鯨岡氏の発言を見るに、そうした目標はある程度達成されたようだ。

こうしたユーザー層の若返りについては、『ファイナルファンタジー』シリーズだけが特有とするものではないだろう。たとえば、カプコンから昨年リリースされた『ストリートファイター6』のディレクターを務める中山貴之氏によれば、以前のシリーズ作品では、主要なプレイヤー層は35歳から45歳の男性ユーザーが主な層だったという。一方『ストリートファイター6』では発売後7か月時点で、20代がもっとも多いユーザー層に変わったとのこと。アクセシビリティを向上させたり、「ワールドツアー」を実装したりすることで初心者にも始めやすくする狙いがあったようで、結果への手ごたえを実感しているそうだ(Walkerplus)。


またコーエーテクモゲームスから販売されている『信長の野望』シリーズではプレイヤー層は年々高齢化しており、現在では40代や50代のユーザーが多い傾向があるという。一方スマートフォン向け作品『信長の野望 出陣』のプロデューサーである菊地啓介氏によれば、同作ではメインユーザー層が5~10歳ほど若返っているとしている。また同作について、親子で楽しめるように設計することで、世代を超えて長年にわたってプレイできるようなゲーム作りが長期的な目標と述べていた(ITmedia ビジネスオンライン)。

長期にわたって展開されるシリーズ作品では、シリーズファンとともに歩んできた結果、主なプレイヤー層が高齢化していく傾向もあるようだ。そんな中で幅広いユーザーに遊んでもらうためには、プレイヤー層の“若返り”を掲げる作品も見られる。『FF16』でも、かねてより目標とされていた“若返り”戦略が一定の成果をあげたことが開発者から明かされたかたちだ。

またPush Squareのインタビューでは、DLC「The Rising Tide」についての詳細や、開発の背景などが語られている。英語でのインタビュー記事となっているものの、気になった人は読んでみてもいいだろう。

『ファイナルファンタジーXVI』は現在PS5向けに発売中。なおDLC「Echoes of the Fallen《空の残響》」が配信中となっており、「The Rising Tide《海の慟哭》」は4月18日に配信予定。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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