『スト6』にて自作チン(顎)コントローラーで戦う難病ゲーマー、「EVOに出るための資金」をクラファンで募集へ。“顎と指先だけ”で世界に挑む

ePARAの畠山駿也氏は3月27日、「EVO 2024」出場のための資金を募るクラウドファンディングキャンペーンを3月29日に開始すると発表した。同氏は筋ジストロフィーを患いながらも、『ストリートファイター6』を続けてきた人物だ。

株式会社ePARAの畠山駿也氏は3月27日、「EVO 2024」出場のための資金を募るクラウドファンディングキャンペーンを3月29日に開始すると発表した。同氏は難病・筋ジストロフィーを患いながらも、格闘ゲームを続けてきた人物だ。


畠山氏は、ハンドルネームJeniとして活動する格闘ゲーマーだ。また株式会社ePARAにて、ゲームアクセシビリティの推進活動に携わってきた。同氏はデュシェンヌ型筋ジストロフィーを先天的に患っている。筋ジストロフィーは、骨格筋が萎縮し、筋力が低下する指定難病。現在は病気の進行により四肢を動かすための筋力がほとんどない状態で、残存する力は指先と首から上のみだという。そうした中でも同氏はチンコントローラー、すなわち下顎(chin)を使ってスティック操作できるコントローラーを自作し、格闘ゲームを続けてきた(関連記事)。昨年2023年4月には、EVO Japanへの出場も果たしている。

畠山氏が今回、自分自身の最大の夢として挑戦を目指すのは「EVO 2024」だ。EVOは、世界最大級の対戦格闘ゲームのeスポーツイベント。今年は米国ラスベガスで現地時間7月19日から7月21日にかけて開催予定となっている。

EVO 2024の開催地はラスベガスであり、渡航費や滞在費も必要となる。それだけでなく、畠山氏は生活や移動、呼吸器の管理などに介助者を必要としている。海外遠征に際して3名の介助者も同行することになるという。畠山氏自身と同行する介助者の渡航費、またエントリーなどもあわせたラスベガスでの6日間の宿泊費などを合わせると、総額で約400万円かかる見込みだそうだ。


渡航にかかる費用のすべてを自費で叶えることは難しく、今回Campfireで目標金額50万円のクラウドファンディングキャンペーンが実施されるかたちになったという。実施期間は3月29日12時から4月30日まで。なお支援者には金額に応じたリターンも用意される。それぞれの金額の支援者に向けてゲーマー向けアパレルブランド「無敵時間」とのコラボTシャツなどが提供予定のほか、帰国後のZoomでの報告会への招待もおこなわれる。

なお畠山氏のnoteによると、同氏は小学2年生のころから車いすでの生活を余儀なくされていたとのこと。実際の身体が思うように動かせない分、ボタン操作だけで強くなれるゲームに魅せられてきたという。しかし症状の進行により、市販のコントローラーを持てなくなり、格闘ゲームのプレイは一時不可能になった。一度は格闘ゲームのプレイを諦めたものの、コントローラーを仲間たちと自作。改良の末に顎と指先で操作可能なコントローラーを作り上げ、格闘ゲーマーとして復帰を果たした。

そんな畠山氏は、EVO 2024において『ストリートファイター6』での出場を目指す。同作では従来よりも簡易的な入力で必殺技を使用できる入力方式「モダンタイプ」などアクセシビリティが強化。また近年では公式大会もレギュレーションの変化により、自作コントローラーでの出場も基本的には認められている。

ちなみに畠山氏は本作にて、モダンタイプ操作のエドモンド本田を用いてマスターランク1700に到達しているとのこと。自分自身のパフォーマンスを100%発揮できる環境があり、ゲーム中に身体的なハンデを感じることもなくなったそうだ。自作コントローラーで研鑽を続けてきた同氏の、挑戦の行方に注目したい。

なお今回の発表に際してユニバーサルグラビティー社の代表取締役であり、EVO Japan 2024では大会運営委員長を務める松田泰明氏もコメントを寄せている:

格闘ゲームの魅力は、ただ単に体格や年齢、性別の違いによる不利が存在しないという点にとどまりません。プレイヤーが互いに競い合うだけでなく、協力し合う文化がコミュニティに深く根付いていることも、その大きな魅力の一つだと思っています。Jeni君がアメリカのEVOに参加するという夢を、僕等コミュニティが力を合わせて実現させることで、格闘ゲームの素晴らしさがさらに多くの人々、延いては世界中の人々に伝わると信じています。Jeni君の挑戦に皆様の力を貸してください。よろしくお願いいたします。

畠山氏のクラウドファンディングキャンペーンは、Campfireにて3月29日12時から4月30日まで実施予定だ。

【UPDATE 2024/3/27 12:29】
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【UPDATE 2024/3/27 13:28】
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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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