『バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3)』を手がけたLarian StudiosのCEO・Swen Vincke氏が、日本時間3月22日にGame Developers Conference(GDC)2024にて登壇。本作について、同スタジオは今後ダウンロードコンテンツや続編の開発をしないことを明らかにした。
『バルダーズ・ゲート3』は、RPG『Baldur’s Gate』シリーズのナンバリング最新作だ。『Divinity』シリーズの開発元として知られる、ベルギーに拠点を置くLarian Studiosが手がけている。ファンタジー・テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の第5版ルールをベースとしており、TRPGのメカニクスをゲームに落とし込んだいわゆるCRPGとして展開されるゲームプレイが特徴だ。
本作は2020年10月に早期アクセスとして配信開始。約3年間開発を進め、2023年8月4日に正式リリースを迎えた。もともとファンの人気は高かった本作ながら、Steamではリリース直後に最大同時接続プレイヤー数87万5000人を突破(SteamDB)。開発元スタッフによれば本作プレイヤー数は1000万人を超える大ヒット作品となった。また、本稿執筆時点における本作のSteamユーザーレビューは、約52万件のうち96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータス。The Game Awards 2023では本作がGame of the Yearを獲得するなど評価も高い作品である。
類まれな売れ行きと高評価を見せた『バルダーズ・ゲート3』ながら、開発元Larian Studiosは同作のDLCも、続編も作る予定はないという。同スタジオ設立者でCEOであるVincke氏が、ゲーム開発者向けイベントGDC 2024の壇上で明らかにした。
Vincke氏は壇上にて『バルダーズ・ゲート3』を開発したことをスタジオとして永遠に誇りに思うとしつつ、今後の展開に言及。誰もが期待するであろう本作の「新たなDLC(new expansions)」や続編について、同スタジオが手がけることはないとはっきり明言した。そして、同スタジオは今後『ダンジョンズ&ドラゴンズ』IP関連作品から離れ、新しい作品の開発へシフトしていくという。
Vincke氏が今後の方針を明かしたのは、Larian Studiosが『バルダーズ・ゲート』続編やDLC開発をすると思っている人々からの声が殺到しているからだとのこと。『バルダーズ・ゲート』続編の行方については、IP権利元であるWizard of the Coast次第であるとした。またVincke氏は自身のX(Twitter)アカウントにて、続編に携わらない決断は「スタジオにとって正しい選択である」と補足。ファンたちの残念に思う気持ちはわかるものの、本作の物語はしっかり簡潔しているとした。そして、本作で経験を積んだLarian Studiosの新作を楽しみにしてほしいと結んだ。
なお、『バルダーズ・ゲート3』については、正式リリース後もさまざまな変更を含むアップデートが配信されている。Vincke氏は、本作についてはまだアップデートを続けるとしており、Modサポートやエンディングへのシネマティック追加を含めた更新について触れている。
また同氏は、本作発売以前のインタビューにて『Divinity』シリーズ新作を「まず間違いなく(Definitely)」作ると語っていた(米IGN)。Larian Studiosは、もともと『Divinity』シリーズを長らく手がけ、RPG開発の名手として高い評価を得ていたスタジオだ。新作の展開にも注目が寄せられることだろう。
『バルダーズ・ゲート3』はPC(Steam)および国内PS5向けに発売中だ。