手紙検閲ゲーム『Your letter has been rejected.』Steam版発表、6月リリースへ。共産主義国家の検閲官として人々の想いを読み、“巧みな偽装”を暴く

ゲーム制作サークルMONAZ.は3月19日、『Your letter has been rejected.』Steam版の制作を発表した。架空の共産主義国で手紙を検閲していくアドベンチャーゲームだ。

ゲーム制作サークルMONAZ.は3月19日、『Your letter has been rejected.』Steam版の制作を発表した。2024年6月リリースを目指して制作が進められており、価格は税込800円で販売予定。Steamではストアページが公開されている。Steam版では、オリジナルのフリーゲーム版からストーリーの大幅追加や手紙の一新などがおこなわれているそうだ。

『Your letter has been rejected.』は、圧政下の架空の共産主義国で手紙を検閲していく、手紙検閲アドベンチャーゲームだ。本作の舞台となるグルツァナ人民共和国では1982年頃、同国で敷かれた渡航制限に対して、西側諸国より大きな批判が続いていた。同国ではそうした声への緩和策として、レスノリア公国への手紙の郵送を許可。手紙の郵送は郵便許可が与えられたものに限られるが、長く国交が途絶えていた両国間において、再び交流が始まろうとしていた。

本作の主人公は、新たに任命された検閲官だ。国家保安省の指示の下、レスノリア公国への手紙を検閲。極秘の案件が進行中だというグルツァナにおいて、レスノリアに内容を気取られないよう、手紙を精査することになる。他人の手紙を見る後ろめたさや、職責と良識の葛藤が描かれるようだ。


検閲官である主人公は、レスノリア宛ての手紙を読み、手紙の可否を判定していく。本作では検閲官の元に、日々手紙が届けられる。圧政下のグルツァナにおいて、人々は想いを手紙に記している。夢を追い求める少女の覚悟や不安、故郷を離れた友人への優しさ、三角関係に陥った男女の手紙など、さまざまな感情の込もった手紙が登場。手紙によって彼らの運命は変化し、想い人への手紙によって2人が結ばれる未来もあるかもしれないという。しかし主人公は検閲官である。国家保安省の指示に従い、手紙の内容に問題があれば破棄。場合によっては差出人を秘密警察へ通報するなど、共産主義国家の検閲官として職務をまっとうするのだ。

本作では検閲官の目を欺くため、偽装の施された手紙も登場。ライターを使って手紙を炙ったり、ルーペで細かい部分を確認したりなど、偽装とも戦うことになる。また本作では、複数のエンディングが用意されている。検閲官である主人公の決断によって展開が変化。手紙の可否によって人々の未来が左右されるほか、国家の行末にも影響を及ぼすそうだ。

 


本作を手がけているMONAZ.は、プログラマのAZ.氏によるゲーム制作サークルだ。同氏の過去作としては『るる子の事件簿!! 』『落ち葉掃除シミュレーター 』など、「Unity1週間ゲームジャム(unity1week)」向けに制作された作品が公開されてきた。オリジナルの『Your letter has been rejected.』も、「Unity1週間ゲームジャム」の参加作品としてお題「おくる」にあわせて制作。2023年12月の公開後は、X(旧Twitter)上などで大きな注目を集めていた。


『Your letter has been rejected.』Steam版では、そんなオリジナル版をベースに、大幅な変更が加えられているようだ。プレスリリースによると、ストーリーを大幅に追加し、複数のエンディングを搭載。作中の手紙もほぼすべて一新されており、プレイヤーの行動によって内容が変化するという。また検閲ツールとして新たにルーペも登場し、より細かな検閲も求められるようだ。オリジナルからパワーアップした有償版となるわけだ。


『Your letter has been rejected.』Steam版は、2024年6月リリースに向けて開発中。価格は税込800円予定となっている。またオリジナル版は、ブラウザ向けに公開中だ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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