『ヘルダイバー2』のフレンドリーファイアは「リアリティ」や「笑い」のために実装されている。緊張感とブラックユーモアをお届け

Arrowhead Game StudiosのCEO Johan Pilestedt氏は、『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』に常時オンのフレンドリーファイアが実装されている意図を説明。没入感を生んだり、「笑い」をもたらすといった意図があるという。

Arrowhead Game StudiosのCEO Johan Pilestedt氏は、海外PlayStation.Blogのインタビュー記事にて『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』に常時オンのフレンドリーファイアが実装されている意図を説明。没入感を生んだり、位置取りの重要性を高めたり、「笑い」をもたらすといった意図があることを解説している。


『HELLDIVERS 2』は、見下ろし視点型シューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。開発はArrowhead Game Studiosが手がけている。本作は最大4人でのオンライン協力プレイに対応し、PC版とPS5版の間でのクロスプレイもサポート。プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、宇宙生物のムシや、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。

本作は協力プレイゲームながら、前作に引き続き味方プレイヤーへの攻撃、いわゆるフレンドリーファイアが常に有効な作品だ。難易度や設定の違いでオフにすることはできない。本作では混戦になりやすく、また爆発系武器も多いため、マルチプレイ時に気を遣う要素のひとつだろう。

そんなフレンドリーファイアが本作に用意された理由を、海外PlayStation.Blogのインタビュー記事にてArrowhead Game Studios の Johan Pilestedt氏が明かしている。同氏はスタジオのCEO兼本作クリエイティブディレクターを務める人物だ。同氏によると、スタジオではゲーム開発において「リアリティ(believability)」がもっとも重要視されているという。

つまり、ゲームの世界といえども、物事は(小さな例外を除いて)一貫していなければならないという哲学があるそうだ。Pilestedt氏はフレンドリーファイアについて、プレイヤーの銃弾が敵を倒すことができるならば、仲間を倒すこともできるはず、といった論理が成り立つと説明している。ちなみに本作では敵同士でも“フレンドリーファイア”が発生することが報告されており、ゲーム内の各部分にこの哲学が根付いていることもうかがえる。


またPilestedt氏は、フレンドリーファイアがもたらす効果についても自身の考えを伝えている。同氏によれば、プレイヤーたちが戦闘中に能動的に(フレンドリーファイアを避けるように)考えることで、ゲームプレイに複雑性が生まれているとのこと。この際にはパズルを解くような思考法ではなく、原始的で創造的な方法で解決策を考えるプロセスがもたらされるそうだ。またフレンドリーファイアにはプレイヤーの世界への没入感を高め、ポジショニングが重要となるチームプレイをもたらす目的もあるという。

さらに、間違って味方に絨毯爆撃をお見舞いした際などに「笑い」が生まれることも、フレンドリーファイアの狙いのひとつだという。Pilestedt氏によれば、これにより現実であれば笑いごとではすまない、ブラックユーモアのある遊びに繋がっていると考えているそうだ。

本作の持ち味である大群を相手にする派手なゲームプレイとは裏腹に、慎重さをもたらす要素となっているフレンドリーファイア。誤射の懸念から戦闘時に気苦労を生んだり、大規模な戦略支援が使いづらくなったりする側面もある。一方で今回のPilestedt氏の発言を見るに、緊張感や位置取りの重要性、さらには笑いをもたらすといった複合的な狙いのもとで導入されているようだ。


なお本作は、特にマルチプレイ時には復活回数に比較的ゆとりができるバランスとなっている。また敵との戦闘だけでなく地雷や異星の植物など戦場は危険だらけだ。フレンドリーファイアは命軽めなヘルダイバーたちの、数ある死因のひとつにすぎないといえるだろう。

ちなみにRedditの本作コミュニティでは、フレンドリーファイアの存在そのものが面白がられている様子。たとえばあるスレッドでは、ヘルダイバーたちは専門的に訓練された軍人であり「味方を撃ったり爆撃したりすることなどありえない」とされている。洗脳されたような物言いの冗談を受けてプレイヤーたちもジョークを飛ばし合っており、Pilestedt氏の述べた狙いどおり、フレンドリーファイアはブラックユーモアのある笑いももたらしているようだ。

直近では、やたらと広範囲を爆撃するため誤射の危険性の高い戦略支援「軌道380mm榴弾弾幕」にまつわる陰謀論も発生(GamesRadar+)。実はオートマトンたちが砲手であり、榴弾をわざとヘルダイバーに当てているのではないかと、まことしやかに囁かれている。陰謀論の真偽はともかくとして、たしかに榴弾弾幕を使う際は特にフレンドリーファイアや自爆に気をつけたい。

『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに発売中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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