Mastfire Studiosは2月29日、マルチプレイ対戦FPS『Blackwake』について、税込520円での配信となっていたところを、基本プレイ無料とした。対応プラットフォームはPC(Steam)。
『Blackwake』は海戦をテーマにしたマルチプレイ対戦FPSだ。最大54人でのプレイに対応している。プレイヤーは海賊、あるいはイギリス海軍のキャプテンになったり、クルーの一員となったりするのだ。キャプテンは操舵や13人まで同乗可能な乗組員への指示を出す。クルーは船を修復したり、大砲などを撃ちあったりする。そうして相手を撃滅したり、砦を巡って攻防を繰り広げたりすることとなる。キャプテンは投票によって決めることが可能。また船員が同意した場合はキャプテンを交代することもできる。
また本作にはゲームモードとして、チームデスマッチ(TDM)、砦の攻防をおこなうSiege、宝箱を奪い合うCapture the Bootyの3種類が実装されている。そしてゲームのプレイによってランクのレベルが上がっていき、キャラクターや船の見た目をカスタマイズすることができる。
本作は2015年よりKickstarterにて1万豪ドル(約100万円・現在のレート)の獲得を目指すクラウドファンディングを実施していた。これは過去同様に、2014年に失敗したKickstarterキャンペーンの2度目の挑戦となっており、およそひと月で目標額の約17倍となる17万1422豪ドル(約1660万円・現在のレート)を集めていた。
そして複数回のプレイテストを経て、2017年にはSteamにて早期アクセス配信開始。公開後にはピーク時で同時接続プレイヤー数が6159人を記録するなど、盛り上がりを見せていた(SteamDB)。その後ユーザーからのフィードバックなどを受け不具合の修正やコンテンツの追加などをおこないつつ、2020年に正式リリースに漕ぎつけた。
2020年2月の正式リリース後は、数百名程度で推移していた同時接続プレイヤー数が一時3000人を超すなど再び盛況を見せた。Steamにおけるユーザーレビューでも、本稿執筆時点で2万4533件中81%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。複数人で協力して一艘の船を動かすという独特なシステムや、ボイスチャットを中心として展開される海戦が面白いとして好評を博していた。しかしその後おこなわれた2020年6月のホットフィックスを最後に、アップデートなどがおこなわれないままとなっていた。本作やMastfire Studiosの公式サイトについても、すでに閉鎖されている。
そんな本作が、今回突如無料にてインストール・プレイ可能となったかたちだ。無料化に際してMastfire StudiosはSteamの本作公式ニュースにて「Blackwake is now free to keep!(『Blackwake』が無料で入手可能に!)」というコメントのみを伝えており、無料化された背景は不明だ。
とはいえ、この無料化を受けてプレイヤー数が増加している。SteamDBによればそれまで30人前後で推移していた同時接続プレイヤー数が、無料化を境にピーク時で487人までに増加。これまでも520円と低価格で提供されていたものの、無料となったことを機に始めたプレイヤーや、ニュースを聞きつけて再開したプレイヤーなどがいるのかもしれない。
ちなみにSteamの本作公式フォーラム上では、昨年10月に「無料化されたら開発者に5000ドル払う」との意気込みを見せていたプレイヤーも存在。身銭を切ってでも無料化によるプレイヤーベース増加を望んでいたファンがいたようだ。なお同ユーザーは同年12月に貯金を別の用途に使ってしまったとして「取引はなしだ」と伝えていた。
いずれにせよ今回、長らくアップデートされることのなかった高評価海戦FPS『Blackwake』が突如基本プレイ無料となり、賑わいを見せ始めたかたちだ。無料であるため気軽にゲームを試してみることもできるだろう。興味のある人は、この機会に大海原に繰り出してみてもいいかもしれない。
『Blackwake』は、PC(Steam)にて無料で配信中だ。