大人気銀河TPS『ヘルダイバー2』は“開発終了したゲームエンジン”で制作されていた。約6年、サポートなしで開発を乗り切った
ソニー・インタラクティブエンタテインメントからPC(Steam)/PS5向けに販売中の協力型TPS『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』。そんな本作について、海外メディア80 Levelが、すでに開発終了したゲームエンジンで開発されていると指摘。その指摘に対し、開発元Arrowhead Game Studios の CEO兼本作クリエイティブディレクターのJohan Pilestedt 氏が反応。本作は2018年に開発・販売終了したAutodesk Stingrayによって制作されたことを公表した。
『HELLDIVERS 2』は、2015年に発売された『HELLDIVERS』の続編で、最大4人でのオンライン協力プレイに対応するTPSだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5。なお本作は、PC版とPS5版でのクロスプレイに対応している。
プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、銀河に平和と自由と管理民主主義を広める任務を遂行。故郷スーパーアースの安全を脅かすエイリアンとの戦いに挑む。チームで相乗効果を得られる装備を選び、各ミッションへの戦略を立て、目標を共に達成するのだ。プレイヤーには数多くの強力な武器が用意され、ロードアウトをカスタマイズ可能。そして任務を完了すると、プレイヤーの宇宙船をアップグレードでき、強力な武器を入手できる。
そんな本作は、「Autodesk Stingrayというゲームエンジンで制作されている」とゲーム開発者のAndy Touch氏によって指摘されていた。Autodeskは図面作成ソフトウェアを主に開発しているアメリカの企業だ。同社はBitsquidというゲームエンジン開発会社を2014年に買収。同社発の同名のゲームエンジンをAutodesk Stingrayと改め、サブスクリプションベースにて2018年まで提供されていた。
Autodesk Stingrayは、同社が提供する3DCGソフトウェア「Maya」や「3ds Max」などとの高い接続性を謳っていた。たとえばMayaで作成したオブジェクトをそのままStingrayへと出力することが可能。ほかにも、3ds Max上のデータについて、Stingrayによるシェーダーを適用した状態で確認ができるといった点があり、すでにStingray製品などで3DCGなどを制作しているアーティストに訴求するとしていた(関連記事)。
そんな同エンジンは『Warhammer』シリーズや『Escape Dead Island』などに用いられている。また前作『HELLDIVERS』においても、前身であるBitsquidが用いられていた(Wikipedia)。ジャンルを変えた続編においても、前作の路線を踏襲してAutodesk Stingrayを選択したのだろう。
【UPDATE 2024/2/22 19:10】
Arrowhead Game Studiosが、Autodesk Stingrayを採用したと思われる理由を追記
しかしながらAutodesk Stingrayは2018年に開発・販売を終了。開発元Arrowhead Game Studios の CEO・Johan Pilestedt 氏によれば、Autodesk Stingrayを採用しているのは事実とのこと。同氏の投稿では、『HELLDIVERS 2』の開発に約8年を費やしたと明言されており、同エンジンのサポートが中止される前から開発が続いていたようだ。
【UPDATE 2024/2/22 20:38】
『HELLDIVERS 2』の開発期間について、 Pilestedt 氏の投稿を引用しつつ追記
Pilestedt 氏は投稿の中で、ほかのエンジンと同じようにゲームを作るためには、エンジニアが(ゲームエンジン側の)サポート無しにすべてを担当する必要があった、としている。2024年2月8日にリリースされた本作は約6年の間、開発終了したゲームエンジンで開発されつづけていたことになる。
ゲームエンジンの利用においては、ゲームエンジン会社側のサポートは不可欠。小規模タイトルならば資料をあたることで、独力で解決できる可能性もある。しかし大規模ゲーム開発においては問題が複雑化し深刻になりやすいため、トラブル時含めたエンジン側のサポートは欲しいもの。そうした困難を自分たちで解決し、ゲームを完成までこぎつけたArrowhead Game Studiosからは、執念さえも感じることだろう。