国内の同人サークル・トトメトリは2月13日、『クリアレイン』の期間限定販売を開始した。対応プラットフォームはPC(BOOTH)で、価格は2480円。2024年2月末まで販売予定となっている。
『クリアレイン』は、幽霊少女と出会った青年のモラトリアムを描く、幽霊的モラトリアムノベルゲームである。本作の主人公・千崎凪は、安アパートに住む五名山大学経済学部のニ回生だ。5月が迫った頃、1人暮らしを始めたばかりの千崎凪は、友人の家で寝泊まりをしていた。アパートの部屋に、少女の幽霊が出たからである。彼女は可愛らしい外見をしており、ただそこにいるだけだ。しかし、千崎凪は得体のしれない存在を恐れ、自分の部屋を避けていた。4月31日、滞在先を失った千崎凪は、ついに自室で幽霊少女と対峙。声と記憶を失った幽霊少女・霞との出会いをきっかけに、透明な物語が描かれていく。なおプレイ時間は、10時間前後とされている。
本作『クリアレイン』は、同人ゲームサークル宴が2011年8月開催のコミックマーケット80にて初頒布した、全年齢向けのノベルゲーム作品だ。美少女ゲームやADVなどを中心にプレイヤーの評価が集まるサイト「ErogameScape -エロゲー批評空間-」ではデータ数45件により中央値85/平均値83を獲得。プレイヤーの間では高い評価を受けているようだ。しかし本作は、入手の難しい作品であった。コミックマーケット80での頒布後、一時はパッケージ版が「とらのあな」で委託販売されていたものの、2012年頃に終了している。その後、正規の入手手段が途絶えたためか、本作は中古市場でプレミア化。記事執筆時点においては、中古ショップでの買取価格は3万円ほどになっている。ダウンロード版は配信されておらず、中古のパッケージ版も高額であったため、プレイしづらい作品となっていたのだ。
今回そんな『クリアレイン』のダウンロード版が、13年越しに配信されたのだ。本作のシナリオを手がけたルクル氏の記事によると、これまで本作はテキストの品質が低く、採算があわないといった理由により、再販をしてこなかったという。しかし今回、多くの声に動かされる形で、再販を実施。要望していたプレイヤーに購入してもらうための再販であるため、期間限定販売となるそうだ。
『クリアレイン』再販版は、2024年2月末まで販売予定となっている。当時の作品をベースとした移植版となっており、エンジンを吉里吉里からLight.vnへ変更。品質の低いテキストを一部修正しつつ、ある程度の誤字など当時の拙い部分も一部そのまま移植されているそうだ。システムも吹き出し形式から変更されており、通常のノベルゲーム形式となっている。なお本作を担当したルクル氏は、美少女ゲームのシナリオライターとして活躍。ウグイスカグラが制作した『冥契のルペルカリア』『水葬銀貨のイストリア』『紙の上の魔法使い』などでシナリオを担当している。また同氏によるノベルゲームサークル「トトメトリ」からは、『プトリカ 1st.cut』が今夏頒布予定であるそうだ。
『クリアレイン』は、PC(BOOTH)向けに2480円で2月末まで販売予定だ。