下村陽子氏、ゲーム業界アワードGDCAにて生涯功労賞を受賞へ。『キングダムハーツ』『スーパーマリオRPG』など数十年にわたる貢献を表彰

 

Informa Techは2月9日、ゲーム業界アワードGame Developers Choice Awards(以下、GDCA)における受賞者として、下村陽子氏を表彰すると発表した。Lifetime Achievement Award(功労賞)としての受賞で、授賞式は3月20日におこなわれる。


今回のアワードについては、サンフランシスコで3月に開催されるGame Developers Conference(以下、GDC)に先駆けて発表されたもの。同イベントは、ゲーム開発者を中心とした世界的な会議だ。プログラマーやアーティスト、ビジネスリーダーなど、ゲーム開発の関係者が多岐にわたって参加する催しとなっている。プログラミングやデザイン、ビジネスや法律関係に至るまで、多岐にわたるゲーム関連の話題に関するカンファレンスや討論がおこなわれる。

そんなGDCに先駆けて発表されたのがGDCAだ。同アワードでは毎年、業界関係者の投票により、優れたゲームとゲームクリエイターに対して賞が贈られる。そしてこのなかで、Lifetime Achievement Awardを受賞したのが日本の作曲家である下村陽子氏だ。


下村陽子氏はゲームミュージックを手がける作曲家だ。代表作に『FINAL FANTASY XV』や『キングダムハーツ』シリーズ、『スーパーマリオRPG』などがある。下村氏は1988年にカプコンへ入社。その後1993年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)への転職を経て、現在は自身が設立したMidiplexにて、ゲームにとどまらない幅広い作曲活動などをおこなっている。

下村氏は先述した代表作のほかにも幅広い楽曲を作曲。カプコン在籍時には『ストリートファイターⅡ』など、またスクウェア入社後には『ライブ・ア・ライブ』、『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』など、多くの作品で曲を手がけてきた。スクウェア・エニックス退社後にも、『ゼノブレイド』や『マリオ&ルイージRPG』シリーズなどで作曲を担当。そしてスマートフォン向け作品『誰ガ為のアルケミスト』や『交響性ミリオンアーサー』で作曲を担当するなど、数多くの楽曲を世に送り出してきた。今回は下村氏の、ゲームミュージックについての長年にわたる貢献に対して賞が贈られたかたちだ。


また下村陽子氏とともに、Fawzi Mesmar氏がAmbassador Award(アンバサダー賞)を受賞することも報じられた。Fawzi氏はゲームデザイナーやディレクターとして、『キャンディクラッシュ』シリーズや『バトルフィールド』シリーズに携わってきた人物。さらに作家や講演家、元eスポーツプレイヤーなどとして、20年以上にわたってゲーム業界で多岐に活動してきた功績が表彰されたかたちだ。

今回の受賞にあたって、Informa TechのイベントディレクターStephenie Hawkins氏は、「下村氏とFawzi氏の、アートとゲーム制作における長年の貢献を称えることができ、光栄に思う」とコメント。また両氏について、「彼らは不朽の名作を生んだだけでなく、世界中の作曲家やデザイナーを目指す人たちにインスピレーションを与えた」と、作品だけでなく業界への影響を与えた点を称賛した。

なお下村氏は直近ではNintendo Switch向け『スーパーマリオRPG』リメイク版の音楽を担当したことを報告していた。ゲームのみならずさまざまな分野で活躍する同氏の、今後の活動も注目されるところだろう。

Game Developers Choice Awardsの授賞式は、現地時間3月20日におこなわれる予定。またGDCは3月18日から22日にかけて開催予定だ。