『パルワールド』開発元社長、「サーバー代で倒産しそう」と悲鳴。「なんとしてでも落とすな」のために“採算度外視”で対処

 

パルワールド』の開発元である株式会社ポケットペア代表取締役社長・溝部拓郎氏は、本作のサーバー運営費用が大きく高騰していることを報告。爆発的な人気を博す本作ながら、その分オンライン周りの運営費用もかさんでいるようだ。


『パルワールド』は、オープンワールドサバイバルクラフトゲームだ。舞台となるのは不思議な生き物パルたちが暮らすパルパゴス島。プレイヤーはパルを捕まえてさまざまなかたちで利用しながら島で生活し、冒険を繰り広げていく。なお本作はシングルプレイのほか、フレンドを招待しての最大4人協力プレイ、およびSteam版はサーバーを立てての最大32人マルチプレイに対応している。

本作は1月19日にPC(Steam/Microsoft Store)/Xbox One/Xbox Series X|S向けに早期アクセス配信開始。リリース後24時間で売上は200万本を突破し、昨日2月1日にはSteam版の売上が1200万本を突破したことが発表。SteamDBによれば最大同時接続プレイヤー数は210万人を突破しており、『PUBG: BATTLEGROUNDS』に次ぐSteam史上2位の記録を樹立している。

そんな本作の開発元ポケットペアの代表取締役社長・溝部拓郎氏は本作の「サーバー代」が高騰していることを報告。同氏のポストではサーバーレンタルサービスの費用とみられる表示が確認でき、投稿時点での「予想される総費用」は7053万円とのこと。先月1月比にして359%、つまり3倍以上サーバー費用が上がっているようだ。溝部氏は画像と共に「ひょっとしてサーバー代で倒産する?」とコメント。プレイヤーの増加に嬉しい悲鳴をあげている。


ちなみに本作ではネットワークエンジニアを中條博斗氏が“ワンオペ”で担当しているとのこと。同氏はポケットペアの過去作『クラフトピア』や『AIアートインポスター』などでもネットワーク周りに携わってきたという人物だ。過去の溝部氏のポストによると、中條氏は『パルワールド』では協力プレイ、1000台近く建てているという専用サーバーの構築、通信最適化などをすべて担当しているという。ちなみに同氏の携わった『クラフトピア』でのSteamの最大同時接続プレイヤー数は約2万7000人(SteamDB)。『パルワールド』では最大で100倍弱のプレイヤーが同時に遊ぶ状況を、ひとりで捌いてきたようである。


そんな中條氏いわく『パルワールド』では「何をしてでもサービスを落とすな」との命を受けているそうで、採算度外視でサーバーを用意しているという。溝部氏が倒産するか心配になるほどの費用はかかっているものの、サービスが落ちにくい環境が構築されたようだ。実際のところ、ポケットペアは『パルワールド』によって大きな収益を得ると見られ、倒産することはないかと思われる。

なお本作はPC(Microsoft Store)/Xbox One/Xbox Series X|S向けにもXbox Game Preview プログラムとして早期アクセス配信されている。Xbox Game Pass(PC/コンソール/クラウド)向けにも提供されており、2月1日のマイクロソフトの発表によると最大デイリーアクティブユーザー数は約300万人を記録。サードパーティー製のXbox Game Pass提供作品のリリースとして史上最大の勢いを見せているとされる。

発表ではマイクロソフトのXbox部門がポケットペアと協力してXboxでプレイできる『パルワールド』のサポート体制を強化すると表明。専用サーバーの実装のほか、グラフィックとメモリの最適化を推し進めるためのエンジニアリングリソースを提供するとしている。今後はXbox部門とのさらなる協力もおこなわれ、大きな人気を博す状況への対応がおこなわれていくようだ。

なお本作は早期アクセスとして、今後もアップデートで不具合修正のほか、調整や改善、新規コンテンツの実装がおこなわれていく見込み。現時点でのロードマップも公開されており、優先的に対処される予定の問題のほか、将来的に実装予定のコンテンツも明かされている。昨日2月1日にはさっそく拠点のパルのスタックなどに関する問題の改善が実施(関連記事)。今後もアクセス集中などにより一部発生している問題には対処がおこなわれていくことだろう。


パルワールド』はXbox One/Xbox Series X|S/PC(Steam/Microsoft Store)向けに早期アクセス配信中だ。また本作は、Xbox Game Pass(Xbox/PC/クラウド)に対応している。