非公式二次創作レースゲーム『Bloodborne Kart』、『Bloodborne』要素を変更するためリリース延期。SIEの連絡を受け“見た目を少し変えた”オリジナル作品に


個人開発者のLilith Walther氏は1月27日、非公式二次創作レースゲーム『Bloodborne Kart』の内容を変更するため、1月31日に予定されていたリリースを延期すると発表した。『Bloodborne』の権利元であるソニー・インタラクティブエンタテインメントから連絡を受けたといい、同作のIPを利用しない内容に変更されるそうだ。変更後は「見た目が少し変わった」オリジナル作品としてリリース予定とのこと。


『Bloodborne Kart』は、フロム・ソフトウェアのアクションRPG『Bloodborne』をもとにした非公式二次創作ゲームであった。“本家”からゲームジャンルはガラリと変わり「レースゲーム」として開発。狩人やゲールマン、人形など『Bloodborne』のキャラクターたち計12人の登場が予定されていた。

本作にはシングルプレイキャンペーンモードのほか、画面分割で遊べるローカルマルチプレイが用意されると伝えられている。レースは3ラップ制で、武器やアイテムなどを駆使しつついち早くコースを3周することを目指す内容となるようだ。また本作にはVSバトルモードも存在。RedとBlue陣営に分かれてミニゲームをおこない、獲得したポイントで競い合う内容となるようだ。

本作を手がけるのは、個人開発者のLilith Walther氏を中心とするFAN SOFTWARE。本作は当初1月31日にPC(itch.io)でリリース予定となっていたが、Lilith氏は今回本作がリリース延期となることを発表した。


Lilith氏によると、同氏は権利元のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の連絡を受けたという。作中から『Bloodborne』のIPに関わる内容を削除する必要があり、対応のために時間を要するそうだ。なおプロジェクト自体の中止を求められたわけではないようで、見た目が少し変わった作品としてリリースされる(It’ll just look slightly different)そうだ。

なお本作はもともと、『Bloodborne』ファンによるネットミームに端を発する作品だ。当初はファンコミュニティにて、『Bloodborne Kart』の架空のロゴやプレイ画面といった画像がコラージュなどが駆使されて作成。本家のシリアスな雰囲気でおこなわれるレースのシュールさからか話題を博した。

*『Bloodborne Kart』のネットミームの歴史を独自調査した動画

実際に遊べる『Bloodborne Kart』を作ろうという試みも見られるなか、Lilith氏は2021年4月1日にエイプリルフールネタとして『Bloodborne Kart』のゲームプレイ風動画を投稿。Lilith氏は当時『Bloodborne』の非公式初代プレイステーション風“デメイク”である『Bloodborne PSX』(関連記事)を手がけており、同作のアセットを活かしたジョークであった。


一方でこの投稿が大きな注目を集めたこともあってか、Lilith氏は「ネットミームの現実化」を目指して『Bloodborne Kart』の開発を進めてきたという。そのため『Bloodborne』の二次創作ゲームであることを公言して作られ、かねてより権利元から対処される覚悟も決めていたそうだ。結果として同氏が予想していたとおり、今回SIEの要請を受けて『Bloodborne』のIPに関わる内容は作中から削除されるかたちとなった。

ただし先述のとおり、本プロジェクトを“見た目を少し変えて”リリースすることは認められた様子。Lilith氏はネットミーム『Bloodborne Kart』の現実化こそ叶わなかったものの、オリジナル作品に変えられる点を「ある意味エキサイティングである」と伝えている。“ギアを切り替えて”前向きにオリジナル作品としての調整をおこなっていくようだ。

Lilith氏による『Bloodborne Kart』に変更を加えたオリジナル作品はPC(itch.io)にて配信予定。配信日は本稿執筆時点では未定で、決まり次第改めて告知されるそうだ。