異常地下通路脱出ゲーム『8番出口』開発者が、“まったく同じ”でなければ類似作品も全然OKの姿勢示す。ゲームは既存物の新しい組み合わせで生まれるので

国内の個人開発者コタケノトケケ氏は12月22日、同氏が手がけた『8番出口』の類似作品について、「まったく同じ場所やシステムでない限り」容認する姿勢を示した。

国内の個人開発者コタケノトケケ氏は12月22日、同氏が手がけた『8番出口』の類似作品について、「まったく同じ場所やシステムでない限り」歓迎する姿勢を示した。あわせて、「8番ライク」なるジャンル名称も提案している。

『8番出口』は、無限に続く地下通路を通って8番出口からの脱出を目指す、短編ウォーキングシミュレーター作品だ。本作でプレイヤーはゲーム開始時点、無限に続く地下通路に閉じ込められている。周囲には一見普通の地下通路が広がっているが、闇雲に進んでも気がつくと同じ場所に戻ってきており、どこまで行っても出口は見えてこない。ループする地下通路に閉じ込められているのだ。

そこでプレイヤーは、地下通路内に掲示されたルールを参考に、8番出口からの脱出を目指す。そのルールとは、異変を見逃さないこと。異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。異変が見つからなかったら、そのまま進むこと。そして、8番出口から外に出ることだ。リミナルスペースやバックルームなどの影響も受けたという、奇妙な空間に閉じ込められる体験が待ち受けている。

なおSteamのユーザーレビューでは、記事執筆時点で3043件中93%の好評を得てステータス「非常に好評」を獲得。シンプルなルールが支配するリアルな空間での奇妙な状況や演出が、好評に繋がっているようだ。


本作は2023年11月30日にPC(Steam)向けに配信開始された。X(旧Twitter)上などでは発表時より注目を集めていたが、発売初日の時点で売上3万本を突破。動画配信サイト上でも、VTuberやゲーム実況者による多数の動画や生放送が配信されている。またインターネット上では登場キャラクターである通称「おじさん」が一部で人気を集め、『8番出口』のシチュエーションを活用した二次創作なども登場。本作は記事執筆時点でPC(Steam)のみの配信となっているが、スマートフォン向けに本作を騙る詐欺アプリが登場していることも含めて、大人気といっても過言ではないだろう。


またそんな本作の流行を受けてかはわからないものの、Steamでは本作を思わせる作品も登場しようとしている。たとえば『Station 5』は地下鉄が舞台となっており、異変を観察しながら正しい電車に乗って「Station 5」を目指すという(関連記事)。『エスカレーター』では、エスカレーターに乗っている間に異変を見つけだし、閉ざされた空間からの脱出を目指すそうだ。少なくとも、異変を探すシンプルなルールや、地下空間からの脱出という目的は共通している。人気作には、影響を受けたフォロワーが登場するものである。『Vampire Survivors』のフォロワー作品やソウルライクなどは顕著な例だろう。本作についても、シチュエーションやルールに影響を受けつつ、一部アレンジを加えたライクなゲームが登場しようとしているのだ。

そうした状況を受けて、『8番出口』の開発者であるコタケノトケケ氏がX(アカウント)上にてコメント、本作のフォロワー作品に対する姿勢を示した。同氏は、「既存のモノの新しい組み合わせ」によって新しいゲームが生まれると考えているため、「まったく同じ場所やシステムでない限り開発者として全然OK」と歓迎する姿勢を見せたのだ。

そしてコタケノトケケ氏は、『8番出口』についても『I’m on Observation Duty』に影響を受けていると言及。『I’m on Observation Duty』シリーズは、インディーゲームデベロッパーNotoviaの手がける、監視カメラで異変を探すパズルホラーゲームである。コタケノトケケ氏のポストによれば、『8番出口』は同作の異変を報告するシステムをアレンジし、1人称視点で先に進む/引き返すへ置き換えたゲームであるという。本作も「既存のモノの新しい組み合わせ」によって生まれた新しいゲームであるため、同氏は歓迎する姿勢なのだろう。

また同氏は、類似作品が増えてジャンル化した場合を見込み、「8番ライク」なるジャンル名を提案している。このまま前述のような『8番出口』に影響を受けた「8番ライク」作品が増え続ければ、同名称が定着する未来もあるのかもしれない。

『8番出口』は、PC(Steam)向けに通常価格税込470円で配信中。またコタケノトケケ氏は、不思議な巨大生物が登場するスリルアドベンチャー『STRANGE SHADOW』を開発中だ。

【UPDATE 2023/12/23 13:52】
コタケノトケケ氏のコメントのニュアンスをより反映するよう、表現を調整

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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