地下道歩きホラー『8番出口』プレイヤーの“おじさん愛”が強まりイラスト化、格ゲーキャラ化など多彩な二次創作生まれる。物言わぬおじさんにガチ恋

『8番出口』にて、通路で出会うことになるおじさんのさまざまな二次創作が生み出されている。名もなきおじさんに対するプレイヤーたちの愛は強まっているようだ。

『8番出口』にて、通路で出会うことになるおじさんのさまざまな二次創作が生み出されている。名もなきおじさんに対するプレイヤーたちの愛は強まっているようだ。


『8番出口』は、ホラー要素のある短編ウォーキングシミュレーターだ。本作の舞台は、無限に続く地下通路。標識を見る限り8番出口の近くにいるようだが、歩いても出口にたどりつくどころか同じ道をループしてしまう。通路の案内板を見るに「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」が通路のルールであり、脱出の糸口のようだ。プレイヤーは地下通路の異変を観察しながら、出口を目指す。

通路は静まり返っており、足音と蛍光灯などの電子機器の音が響くのみ。無機質な環境や突然起こる不気味な異変も相まって、心細さも極まる。そして無限に続く地下通路では、ループのたびに出会うことになる奇妙な人物がいる。ワイシャツ姿の名もなきおじさんだ。

おじさんは通勤中なのかビジネスバッグを持ち、スマホを片手に通路の先から歩いてくる。他人同士だからか基本的にはこちらに見向きもしないため、おじさんとは通路ですれ違うのみ。またおじさんは通路をループするたびに通路の先から現れるため、気まずいひとときが繰り返される。異空間で出会う見知らぬ人物だけに、警戒心を抱くプレイヤーもいるだろう。


しかしこのおじさん、プレイヤー間で並々ならぬ人気を博している。地下通路で繰り返し出会うほぼ唯一の人だけに、次第にプレイヤーに安心感をもたらしたり愛着を湧かせたりするのかもしれない。またおじさんは一見すると頭頂部が心もとない冴えない人物のように見えるものの、顔立ちの凛々しさやスタイルの良さを評価する声も見られる。たしかにスラっとした脚とがっしりとした肩幅や胸板から、スーツパンツとシャツを完璧に着こなしている。

そうしたルックスや品の良さから、物言わぬおじさんに恋するプレイヤーも一部発生。ゲーム内では異変のひとつを悪用して、おじさんを閉じ込めようとする過激派も見られる。またゲーム外ではイラストに描かれたり、コスプレのモデルになったりと二次創作も活発化。MMO『PSO2 ニュージェネシス ver.2』や格闘ゲーム『ソウルキャリバー6』などキャラメイク可能な作品で再現される様子も見られ、さまざまな愛され方をしている。


『8番出口』を手がけたのは国内の個人開発者コタケノトケケ氏。同氏が以前弊誌に伝えたところによれば、通路のおじさんは開発中に愛着の湧いたキャラクターであり、ユーザーレビューではおじさんへのコメントを特に楽しんでいるそうだ。

通路のおじさんは『8番出口』を代表する要素のひとつであり、開発者やさまざまなユーザーに親しまれている。中にはおじさんに魅了される理由を、何かに繰り返し接するうちにそれを好きになっていく「単純接触効果」ではないかと推察するユーザーも見られる(日本心理学会)。またプレイヤーたちは異変探しの一環としておじさんをじっくり観察し続けるうちに、一見するだけでは分からない魅力に気づいていくのかもしれない。

ちなみにストリーミング配信でも人気を博している本作では、各ストリーマーもおじさんにさまざまな反応を寄せている。通路のおじさんは多種多様な反応を巻き起こしており、SNSや動画配信サイトなどでユーザー反応を見比べてみるのも面白いだろう。

『8番出口』はPC(Steam)向けに配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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