『ポケモンスリープ』ユーザーは「夜更かししにくくなり、睡眠時間が伸びた」可能性ありとの調査報告。Yahoo! Japanのビッグデータ分析により
ヤフー・データソリューションは12月13日、『ポケモンスリープ』ユーザーの睡眠活動が非ユーザーと比べて改善している可能性を示す独自調査結果を発表した。睡眠リズムや睡眠時間、睡眠活動改善への意識が、非ユーザーと比べてより向上している傾向にあったという。
『ポケモンスリープ』は、ポケモンを題材にした睡眠時間管理アプリだ。舞台となるのはカビゴンが眠る島。ユーザーはこの島にて、ネロリ博士とともにポケモンの睡眠を研究していくことになる。ユーザーがスマートフォンを枕元に置いて寝ることで、本アプリは睡眠を計測・記録・分析してくれる。そして、ユーザーの睡眠に基づいたポケモンのコレクション要素などの遊びが用意。睡眠を介してポケモンを育てたり、カビゴンを1週間の中で大きくしたりと、育成要素を楽しめる。
夜更かししにくくなる可能性
今回、ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)のデータソリューションサービス「ヤフー・データソリューション」は本作に関する独自の調査レポートを公開。本作のユーザーと推定されたユーザー群の睡眠リズムが、前年よりも改善傾向にあるとの見解が伝えられている。
ヤフー・データソリューションは今回の調査において、一定期間内に『ポケモンスリープ』のワードとあわせて「攻略」「厳選」と検索していたユーザー群を、本作のユーザーであると推定。性別、年齢、1年間の検索回数が類似していた同数のユーザー群を比較ユーザー群として調査をおこなったそうだ。調査においては、2022年9月および2023年9月のすべてのヤフーサービスの閲覧ログが用いられたとのこと。
まず調査では、ヤフーサービスの閲覧ユーザー数を時間帯別に集計し比較。すると、比較ユーザー群よりも『ポケモンスリープ』ユーザー群の方が、午前0時~5時の深夜帯でのサービス閲覧者数がより大きく減少していることを示すデータが得られたという。つまり本作のユーザーは、深夜まで起きてヤフーサービスを利用しにくくなった傾向を示しているわけだろう。
推定睡眠時間は平均して約26分増加
調査では次に、閲覧の時間差からユーザーの睡眠時間の推定がおこなわれている。調査においては、ユーザーごとに前日20時から翌朝11時までの閲覧データをとり、閲覧から次の閲覧までの時間がもっとも長かった差分を推定睡眠時間と定義。ようするに「夜にヤフーサービスに長く触れていなかった時間は寝ていた」と推定されたかたちだ。
このうち推定睡眠時間が極端に短いあるいは長いデータを除外し、3時間以上12時間以下のものに限定。結果が25日以上残っているユーザーごとに平均値がとられて推定睡眠時間の分布が集計されたとのこと。そうして下記のような分布チャートが得られ、『ポケモンスリープ』ユーザー群は比較ユーザー群と比べて、前年よりも推定睡眠時間が長くなった傾向が見られたという。
また『ポケモンスリープ』ユーザー群の推定睡眠時間は平均して、前年比で約26分増加していたそうだ。対する比較ユーザー群の推定睡眠時間は平均して、前年比で約1分の増加にとどまっていたとのこと。
睡眠活動改善への意識も向上傾向
そのほか調査においては、『ポケモンスリープ』ユーザーの睡眠活動やそのほかの健康問題への意識を調査する目的で、各ユーザー群の検索キーワードも集計された。なおこちらの集計においては「特徴度」とされる指標が用いられている。特徴度とは、特定の属性(性年代、地域など)にとって「そのキーワードがどれくらい特徴的かを表現したスコア」とされる。ほかの属性の人よりも、対象となるキーワードを検索しやすい傾向を示す指標といえるそうだ。たとえば日本の地域別で検索キーワード「うどん」の特徴度を見ると、香川県では特徴度が高くなる傾向があるとされている。
今回の調査では、特徴度が1以上あり、かつ検索ユーザー数が一定の値を超えているといった条件に基づき検索キーワードを抽出したそうだ。すると比較ユーザー群からは、条件を満たす睡眠活動改善に関する検索キーワードが3件しか抽出されなかったとのこと。「はちみつ 練る前 効果」「睡眠薬 やめる方法」「何時間睡眠がベスト」との検索キーワードが抽出されたそうだ。
対する『ポケモンスリープ』ユーザー群からは16件の検索キーワードが抽出されたという。比較ユーザー群よりも具体的な睡眠の改善策を求める検索キーワードが見られたといい、「ノンレム睡眠 増やす」「睡眠負債 解消法」といったキーワードも確認できる。また特徴度が2を超える検索キーワードが6件見られ、睡眠活動改善に関するキーワードを検索しやすい傾向があったようだ。本作のユーザーの、睡眠活動への意識の高さもうかがえる。
なお『ポケモンスリープ』ユーザー群の2023年4月~6月の検索キーワードを見ると、本作のリリース前からそもそも睡眠活動の意識が高かった傾向も見られたという。とはいえ抽出された検索キーワード数は9件で、特徴度は最大でも1.67にとどまっていた。そうしたユーザー群が本作を利用することによって、さらに睡眠活動改善への意識が強まった可能性が示されているそうだ。
『ポケモンスリープ』ユーザーが、非ユーザーと比べて睡眠活動が改善している可能性が示された今回のヤフー・データソリューションの調査。調査レポートではさまざまなグラフや表も用いられており、詳細が気になる方はチェックしてみるといいだろう。なお今回公開されたデータを含め、ヤフー・データソリューションはユーザーのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果の提供をおこなうサービスとされる。そのため個人を識別できるデータ(パーソナルデータ)については、ユーザーから新たに同意を得られない限りは外部に提供されないとのことだ。
専門家の監修で開発
『ポケモンスリープ』は、筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授などを務める医学博士の柳沢正史氏の監修で開発されたとされる(ポケモン公式サイト)。睡眠を自動で記録し、ゲーム感覚で楽しみつつ目覚めさせるアプリとして、専門家である柳沢氏のアドバイスを受けながら開発されたそうだ。
そのためか本作では、たとえば睡眠時間を長くとるだけでは良い「睡眠評価(睡眠リズム評価)」を得られないといった特徴も見られる(関連記事)。睡眠リズムの評価において睡眠のコアタイム(資料PDF)が重視される傾向があるようで、そうした点からも専門家の知識が活用されていることがうかがえる。今回、独自調査ながらヤフー・データソリューションにより本作のユーザーの睡眠活動やその改善意識が向上している可能性が示された点は、注目に値するだろう。
『ポケモンスリープ』はiOS/Android向けに基本プレイ無料配信中だ。