『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』開発者、ユーザーお手製のロボやゴジラに驚く。見た直後はてっきり別のゲームかと思った

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のプレイヤーたちがSNSに投稿する発明品には、開発者も驚かされているそうだ。なかでもあるユーザーが投稿した「ゴジラ」風の映像については「別のゲームかと思って驚いた」という。

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のプレイヤーたちがSNSに投稿する発明品には、開発者も驚かされているそうだ。なかでもあるユーザーが投稿した「ゴジラ」風の映像については、ディレクター藤林秀麿氏とプロデューサー青沼英二氏でさえも「別のゲームかと思って驚いた」という。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。

本作ではリンクの右手の新能力のひとつとして「ウルトラハンド」が登場。さまざまなオブジェクトや古代文明の遺物「ゾナウギア」を組み合わせて、多種多様なもの作りが可能となっている。ユーザーが作ったものは国内外のSNS上で共有されており、新たな作品が生み出されてはコミュニティが賑わいを見せている。


そしてそうしたユーザー作品は、開発者の目にも届いているようだ。米IGNのインタビューに対し、ディレクター藤林秀麿氏とプロデューサー青沼英二氏が伝えている。藤林氏によればSNS上で見られるユーザー作品には、開発チームの想像を超えるものもあるという。青沼氏はその一例として「からくり人形」を挙げている。同氏は東京藝術大学および大学院時代に、楽器を演奏するしぐさを見せるからくり人形の制作を続けていた人物。本作開発中にもゲーム内でからくり人形作りを試みたものの、上手くいかなかったという。

一方でゲーム発売後には複雑な仕組みでからくり人形を実現しているユーザーたちが見られたといい、青沼氏は「彼らは自分を追い越した」と感じたそうだ。本作発売後にはユーザーがさまざまなメカを発明し、技術が進歩していく様子も見られた(関連記事)。開発者もそうした進化の過程も目にしていたのだろう。

インタビューでは、先日Xユーザーのスモグリ氏が投稿した「ゴジラ」をモチーフにした映像についても言及された。映像はゾナウギアなどを組み合わせたゴジラ風のメカが海から上陸し、“戦車”からの砲撃を受けながらも口から光線や炎を放ち、破壊の限りを尽くす内容だ。


藤林氏はこの投稿を見たとき、当初は別のゲームの映像だと思っていたそうだ。本作で作られた映像だと気づいたときには非常に驚いたという。青沼氏も、映像内ではリンクが画面上に映っておらず、ほぼ別のゲームのような印象を受けるとコメント。どのように撮影されたのかが未だに不思議で、気になっているそうだ。

本作では基本的に、ゲーム内の視点がリンクを中心に捉え続ける三人称視点が採用されている。一人称視点で写真撮影可能なウツシエ機能もあるものの、スモグリ氏の映像と違って、画面上にはUIが表示される。そのほか一人称視点を実現する手段としては「リンクを視点ぎりぎりに近づける」方法が存在。本作では視点の背後に壁やオブジェクトがあって、リンクが視点ぎりぎりに近づいた場合に、リンクが透明に表示されて視界を邪魔しないシステムになっている。映像ではこうしたシステムを応用して疑似的に一人称視点が作り出されているのかもしれない。


なおスモグリ氏は過去に「潜水艦」を作成して注目を集めたこともある(関連記事)。同氏の潜水艦では、ゼルダネコ氏による水中を一人称視点で見ることができるテクニックが応用されており、一人称視点で水中を移動できる乗り物となっていた。上記のスモグリ氏のゴジラ動画においても、視点にまつわるノウハウが結集されているのかもしれない。

ちなみにオブジェクトを繋げるという遊びは、本作の開発初期に藤林氏が持ち込んだアイデアだという(開発者に訊きました:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム)。当初はさまざまなものを作る試行錯誤がおこなわれたそうで、そのなかで同氏は前作にてユーザーが制作した「フライングマシン」を目撃。前作ではものを組み合わせて乗り物を作り出す仕組みが公式に用意されなかったものの、無理やり空飛ぶ乗り物が編み出されていた。“非公式なもの作り”を楽しむユーザーを見た藤林氏は勇気づけられたそうで、自信をもってオブジェクトを組み合わせる遊びの開発を進めたようだ(The Washington Post)。


そうして生み出されたウルトラハンドという仕組みはユーザーたちのさまざまな発明に繋がり、発売後半年を経た今もコミュニティに活況をもたらしている。前作においてスタッフ全員を驚かせて絶句させたという先述の非公式フライングマシンに引き続き、今作でもユーザーによる発明は開発者たちに驚きをもたらしているようだ。ウルトラハンドについては今作限りの登場となることが明言されているものの(関連記事)、多種多様なユーザー発明は今後の新作開発時のアイデアに影響を与えるかもしれない。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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