『The Day Before』スタジオ閉鎖を受け、『DayZ』や『RUST』公式がおちょくり皮肉をかます。“無遠慮”な公式悪ふざけに冷ややかな目

『The Day Before』の開発元FNTASTICは12月12日、スタジオを閉鎖すると発表。この一件をオープンワールドゾンビサバイバル『DayZ』の公式Xアカウントが皮肉り、『RUST』の公式Xアカウントも“便乗”。良くも悪くも注目を集めているようだ。

『The Day Before』の開発元FNTASTICは12月12日、スタジオを閉鎖すると発表し、同作の開発を中止することを告知した。あわせてPC(Steam)上で早期アクセス配信されていた本作が販売中止。この一件をオープンワールドゾンビサバイバル『DayZ』の公式Xアカウントが皮肉り、『RUST』の公式Xアカウントも“便乗”。良くも悪くも注目を集めているようだ。

『The Day Before』

『The Day Before』は、パンデミック後のアメリカ東海岸を舞台とするオープンワールドサバイバルMMOと標榜されていた。2021年1月に発表され、Steam DBにおけるSteamウィッシュリスト登録者数で1位になるなど多くの注目を集めつつも、幾度も発売延期。12月8日にPC(Steam)にて早期アクセス配信開始を果たしたものの、サーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていたことから多くの不評が寄せられる結果となった。

本日、開発元のFNTASTICはスタジオを閉鎖することを発表。理由としては『The Day Before』が収益的に失敗し、運営継続のための資金が不足しているためだとされた。また販売元のMytonaからも声明が出され、希望者への返金対応に向けてSteam側(Valve)との協力を予定していることが表明された。突然のスタジオ閉鎖発表を受けてユーザーには混乱が生じており、動向が注目される状況だ。

こうした中でオープンワールドサバイバルゲーム『DayZ』や『RUST』の公式XアカウントがFNTASTICの声明を茶化す投稿をおこない、注目を集めている。『DayZ』の公式Xアカウントが投じたのは、建前上は同作の10周年を祝う投稿だ。同作はBohemia Interactive が手がけ、2013年12月16日にSteamにて早期アクセス配信開始されたゲーム。まもなく10周年を迎えるにあたり、先述のFNTASTICの声明を真似た文面で『DayZ』の10周年を祝う内容が綴られている。


『DayZ』公式Xアカウントが投じた声明は、FNTASTICの声明にデザインが似せられており、また文章内の一部表現はほぼ同じ。たとえばFNTASTICの声明では「本作の開発には努力とリソースが注ぎ込まれ、作業されてきた」と述べられていたが、『DayZ』の声明においても同様の表現が見られる。またの声明の最後にはFNTASTICの声明と同じく年表も記載され、『DayZ』が辿ってきた歴史が紹介。「dead game(死んだゲーム)」との記載に打ち消し線を引いたうえで『DayZ』開発チームとされて締めくくられている。

ちなみに『DayZ』公式Xアカウントは声明を「特に理由なく(for no reasons at all)」投じたとしているものの、ポストには文面どおりの意味ではないことを示すスラング「/s」が書き添えられている。つまり文面上は『DayZ』10周年を祝う投稿ながら、FNTASTICの投稿を真似ているといった“含み”があると認めているかたちだ。

『DayZ』はミリタリーシム『Arma 2』の人気Modを前身としており、スタンドアロン版として2013年12月にSteamにて早期アクセス配信された。開発にはModの制作者である“Rocket”ことDean Hall氏がプロジェクトリーダーとして参加。なおDean氏は本作の早期アクセス配信開始前に、ユーザーに対して本作が「アルファ版」である点を強調しており、同氏の言葉どおりさまざまな課題を抱えたままでのリリースとなった。オープンワールドサバイバルゲームの先駆けのひとつとして注目されたものの、課題点から批判に晒されながらのスタートとなった。

『DayZ』

賛否両論が寄せられ、また2014年11月にはDean氏の離脱もあったものの、本作の開発は継続。当初から多岐にわたる要素が強化され、2018年12月には正式リリースを迎えた後もサポートは続けられている。Steamユーザーレビューでは、全てのレビューでも約30万件中75%が好評とする「やや好評」ステータスまで持ち直している。

そうした背景もあり『DayZ』の公式は、同じくリリース時に躓き、大きな期待を受けながらもすぐさま開発継続を断念した『The Day Before』の開発元FNTASTICの投稿を皮肉っているかたちだろう。しかし『DayZ』も不具合やチート使用者の存在など、現状でも課題は残されている。さらに『The Day Before』に期待をかけていたユーザーの落胆も見られる状況であり、そうしたなかですぐさま投稿された皮肉を「無遠慮だ(savage)」とする反応も散見される。公式アカウントが堂々とFNTASTICを揶揄するという上記の声明に対しては、批判も集まっているようだ。

なお『DayZ』の声明の一部を雑に書き換えるかたちで『RUST』の公式Xアカウントも反応を示した。同作もSteamにて2013年12月に早期アクセス配信開始されたゲーム。また当初は『DayZ』のクローンとして開発が始まったとされ、同作とは縁深いタイトルだ。当初批判を浴びたという点でも同様の経緯を辿ってきた作品でもある。こうした背景があるため「声明を使い回す」というかたちで反応したのだろう。ちなみに一連のやり取りには『SCUM』の公式Xアカウントも“野次馬”として興味津々な様子を見せている。


大きな期待を受け、早期アクセスとして配信開始されたものの、突然のスタジオ閉鎖が告知された『The Day Before』。落胆の声も多いなか、人気オンラインサバイバルゲームの公式Xアカウント同士が皮肉なやり取りを見せているかたちだ。どちらもFNTASTICの閉鎖発表からすぐさま投じられており、混乱した状況を茶化すやり取りとなっている。実際に購入直後に『The Day Before』開発中止の憂き目にあったユーザーもいるなか、遠慮知らずで展開される一連のやり取りには疑問が残る。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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