都市開発シム『Cities: Skylines II』開発元トップ、「シム嫌いにこのゲームは向いてない」発言が波紋広げ謝罪。そういう意味じゃなかった

『Cities: Skylines II』の開発元Colossal Order のCEO・Mariina Hallikainen氏が公式フォーラム上で投じた発言が物議を醸している。同氏はすぐさま謝罪を投稿し、発言の意図を改めて説明している。

Cities: Skylines II』の開発元Colossal Order のCEO・Mariina Hallikainen氏が公式フォーラム上で投じた発言が物議を醸している。すべてのプレイヤーは満足させられないといった文脈で投じられた「シミュレーションゲームが嫌いな人には、このゲームは向いていないかもしれない」との発言だ。同氏はすぐさま謝罪を投稿し、発言の意図を改めて説明している。


『Cities: Skylines II』は、高い評価を得た都市開発シミュレーションゲーム『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)』の続編だ。プレイヤーは居住区やインフラなどを整備し、さらに産業を活性化させながら街を一から建設。市民の生活や経済などが複雑にシミュレーションされ、それらのニーズや状況変化に対応しながら街を発展させていく。本作は発売前に「目標とするベンチマークに達しないまま」リリースされることが告知されていた。結果として本作は最適化不足という課題を抱えたままのスタートとなり、発売後にはパフォーマンス問題を中心に報告が寄せられた。

そうした状況を受けて、Colossal OrderのCEOを務めるMariina Hallikainen氏は「Word of the Week」という取り組みを発表した。透明性を確保するためスタジオの取り組みや計画を公式フォーラム上で毎週明かしていくことを表明。各フォーラム上ではユーザーとのやり取りもおこなわれている。

直近では本作のModサポートに関する投稿がおこなわれ、2024年初頭に公式Modエディターが実装されることが告知された。毎週続く公式フォーラム上での報告を受けて、ゲームの現状や今後の方針が細やかに明かされている点を評価するユーザーも見られる。一方で今回のフォーラムには、最適過不足以外にも不具合やバランス調整面の課題を抱えるゲームの状態についての不満も寄せられている。


たとえば本作では、人材含むリソースが不足した場合、不足分を自動的に補う「failsafe」がおこなわれる。都市の抱える問題への対処が分からない場合のお助け機能ともいえる仕組みだ。一方現状failsafeがゲーム序盤以降も手厚くおこなわれるバランスは賛否を分けており、シミュレーションやバランス調整が行き届かない部分を誤魔化しているのではないかといった憶測も寄せられている。そのほかユーザーからは、一部要素のシミュレーションが十分に機能していないといった報告も見られる。そうした「パフォーマンス面だけでなくシミュレーション要素にも課題がある」といった意見が寄せられたのち、Mariina氏がフォーラム内に投じた発言が波紋を広げている。

Mariina氏はフィードバックについて感謝を述べつつ、ゲームプレイやシミュレーション面に関しては、チームの狙いどおりの状態であると明言。調査・修正中の不具合はあるものの、意図したとおりのゲーム体験になっており、前作よりも良いゲームになっていると述べている。そして同氏は「シミュレーションゲームが嫌いな人には、このゲームは向いていないかもしれない(If you dislike the simulation, this game just might not be for you)」とコメント。すべての人を満足させることは不可能であるとしつつ、修正予定の不具合が解消されることで一部のユーザーを満足させられることを願っていると伝えた。


この発言はフォーラム上だけでなくRedditなどにも拡散され批判を受けるかたちとなった。パフォーマンス問題や不具合を除いたユーザーからの不満は、「その人がシミュレーションゲームに向いていないから生じている」といった発言として受け取られた側面もありそうだ。つまりゲーム側には問題がないといった主張と認識され、批判が生じたのだろう。

こうした反応を受けて、Mariina氏はフォーラム内に謝罪を投稿。ゲームを改善するためにチームは最善を尽くしているものの「すべての人を余さず満足させることは不可能」という点を強調したかったと伝えている。あわせて同氏は、今後不具合を修正し、開発元のビジョンとコミュニティからのフィードバックを組み合わせながらゲームを改善していくとした。

またMariina氏は、先述のfailsafeについてもフォーラム内で言及。同氏はゲームに入門しやすいバランスが重視されたと認める一方で、挑戦的な難易度の必要性も認識しているそうだ。そしてフィードバックをもとに、現状のfailsafeに批判が寄せられている原因が情報の表示形式の問題か、あるいは不具合やバランス調整不足なのかどうかといったさまざまな可能性を検証していくとのこと。プレイヤーの意見に耳を傾けながら、プレイテストなどもおこないつつ調整を進めていくそうだ。


なお本作に向けた次回のパッチは、対処に時間のかかる問題の解消を目指しているとのこと。Mariina氏は今回のフォーラムにて、現時点でパッチの配信時期は未定ながらパフォーマンスの改善に向けた取り組みは進んでおり、また不具合修正も順調に進行していると伝えている。現状では一部シミュレーション要素が正常に動作しないような不具合も生じていると見られ、今後のパッチで本作の課題が解消されていくかどうかは注目されるところだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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