『フォールアウト: ニューベガス』開発者、「レベル1ニューベガス到達法」は裏技ではないと明言。発売後約13年越しで明かされる“上達するか死ぬかの関門”としての設計意図

『Fallout: New Vegas(フォールアウト: ニューベガス)』では、「ニューベガス」にレベル1で早々に到達する攻略ルートが考案されてきた。それらの一部は“抜け道”ではなく開発者の想定どおりに作られているという。

Fallout: New Vegas(フォールアウト: ニューベガス)』では、序盤を超えた節目ともいえるロケーション「ニューベガス」に、レベル1で早々に到達する攻略ルートがさまざま考案されてきた。そうした攻略ルートの一部は“抜け道”ではなく開発者の想定どおりに作られているという。本作ディレクター兼リードデザイナーを務めたJosh Sawyer氏が明かしている。


『Fallout: New Vegas』は2010年発売の、『Fallout』シリーズ4作目となるRPGだ。舞台となるのは核戦争後のアメリカ南西部「モハビ・ウェイストランド」。戦前のラスベガスを中心とする地域で、ラスベガスはニューベガスと名を変えたものの、ウェイストランドの歓楽街として栄えていた。主人公はある物をニューベガスに届ける任務を与えられた運び屋。しかしあと一息で謎の男たちに襲われ、荷物を奪われて瀕死の重傷を負ってしまう。田舎町グッドスプリングスの医師に助けられた主人公は、勢力争いの只中にあるモハビを放浪することになる。

ニューベガスは本作の目玉となるロケーションながら、メインクエストや導線を辿りながら向かうと一定の時間はかかる。そのため周回プレイ時にはさっさとニューベガスに向かいたいプレイヤーもいるだろう。そうした需要からか、ユーザーはさまざまな「レベル1ニューベガス到達法」を考案。たとえば下記動画のような方法が存在する。

上記動画ではブラックマウンテンを乗り越え、キャンプ・マッカランに到達。NCR兵士の装備を拝借して変装することでモノレールを利用し、ニューベガスのストリップ地区北ゲートに到達している。ほかにもさまざまな方法が考案されるなかで、「ブラックマウンテンや採石場ジャンクションを通り抜ける」方法は定石の一つとなっているようだ。道中にはスーパーミュータントやデスクローといった強敵も配置されているものの、ステルス状態などで掻い潜ることが可能となっている。

レベル1でもニューベガスに到達できてしまう点から、こうした攻略ルートは開発元が想定していない裏技(glitch)ではないかと考えていたユーザーもいる様子。たしかにレベル1では到底突破できない場所をステルス状態で通り抜けできる攻略ルートは、開発元が認識していない抜け道のようにも見える。

しかしそうした攻略ルートは、開発者いわく想定どおりの動きだという。Obsidian Entertainmentにて本作のディレクター兼リードデザイナーを務めたJosh Sawyer氏がユーザーに返答するかたちで明かしている。同氏によれば、ブラックマウンテンや採石場ジャンクションの役割は、ストリップ地区北ゲートへの道を阻むことだけではないという。(序盤の)「プレイヤーが上達するか死ぬか」の関門として通り抜けできるようにも作られたそうだ。また同氏はスコルピオンガルチも同様だといい、通り抜けが可能だと紹介している。

たしかに先述の動画のようなルートでは、NPC同士が戦闘をおこなうように配置されている場所もある。混乱に乗じてステルス状態で通り抜けたり、漁夫の利でNCR兵士の装備を拝借したりと低レベルでも攻略しやすくなっている。こうした点は、開発元が想定した調整なのかもしれない。

いずれにせよ今回のJosh氏の発言により、発売から約13年を経て「ニューベガスへのレベル1到達」が開発者の想定する遊び方の一つだと明かされたかたちだ。本作は、ニューベガスにたどり着くことが物語の第一段階ともいえる作りになっている。ストーリーラインが分岐するクエストもニューベガスにて巻き起こるため、周回プレイ時などは特に短縮したいプロセスだろう。そうした需要にも応えるルートとなっているわけだ。

また、ブラックマウンテンや採石場ジャンクションを通り抜けるのはあくまで短縮版の攻略ルート。じっくりと導線をたどりながらニューベガスを目指すのも、キャラの成長やさまざまなクエストに触れる機会をもたらしてくれるだろう。

シリーズ屈指の自由度の高さで知られる『Fallout 2』を含め、遊び方の幅広さはObsidian Entertainmentの作風といえる。なお同スタジオは『Fallout: New Vegas』以降にも『The Outer Worlds』や『Pentiment』といった作品を展開している。そうした作品を遊ぶ際にも、開発者の想定に思いを馳せながら遊んでみるといいかもしれない。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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