『ARK: Survival Evolved』のソースコード盗用疑いでSteamから消えた『Myth of Empires』、約2年にわたる泥沼裁判が和解。一転して協力しあうパートナー関係に


デベロッパーのSnail GamesとAngela Gameは10月11日、Angela Gameが手がけたサバイバルゲーム『Myth of Empires』を巡る著作権および営業秘密侵害訴訟について、双方合意のもと和解したと発表した。本作においては、Snail Gamesの子会社Studio Wildcardが開発した人気作『ARK: Survival Evolved』からのソースコード盗用が指摘されていた。


『Myth of Empires』は、古代アジア大陸を舞台にするオンラインサバイバルゲームだ。プレイヤーは、戦火に包まれた広大なオープンワールド世界にて、装備品や各種アイテムを収集・作成し、また外敵の侵攻を防ぐ城を建設。そして仲間と共に勢力を立ち上げ、またほかの勢力と同盟を結びながら繁栄を目指す。本作は、2021年11月にSteamにて早期アクセス配信が開始され、当時には同時接続プレイヤー数が約4万8000人に達するほど大きな人気を獲得。しかしその直後に配信停止され、ストアページも削除された。現在は公式サイトを通じて販売されている。

本作がSteamから取り下げられた背景には、Snail Gamesからの著作権侵害の訴えがあった。Snail Games側が本作について、子会社Studio Wildcardが開発した『ARK: Survival Evolved』からソースコードを盗用していると主張し、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づきSteamを運営するValveに本作の取り下げを求めたのだ。『Myth of Empires』の開発者にはSnail Games Chinaの元従業員が含まれ、『ARK: Survival Evolved』のソースコードへのアクセス資格をもっていた従業員もいたとされた(関連記事)。

一方でAngela Game側は当時、ソースコード盗用を真っ向から否定。Snail Gamesが『Myth of Empires』のプログラムを解析し示した盗用の根拠について、誤解を招くよう恣意的に操作されているなどと主張した。そしてカリフォルニア州中部地区連邦裁判所にて、Snail Gamesを相手取り訴訟を起こした(関連記事)。


今回その約2年にわたる訴訟が、和解という結論をみることとなった。発表にてAngela Gameの社長Yi Ling Zheng氏は、『Myth of Empires』によってSnail Gamesのビジネスに困難な状況をもたらしたことを認め、遺憾に思うとコメント。そのうえで、両社は本作の販売および開発についてパートナーシップを締結したことを明らかにした。またSnail Gamesは、本作に対するDMCA違反の訴えを取り下げるとのこと。

『Myth of Empires』の今後については、PCゲームストアでの再リリースおよびPlayStation/Xboxプラットフォームでの全世界発売を、2024年前半におこなうことを目指すという。その際の広報活動やマーケティング、ファーストパーティとのやり取りについて、Snail Gamesが同社のリソースを活用しサポートする。さらに、将来のDLC・拡張パック開発にSnail Games USAが参加するとのこと。なおこのパートナーシップには、Angela GameからSnail Gamesへの継続的なロイヤリティの支払いも含まれているそうだ。和解内容のその他の詳細については非公開とされた。

両社からは明言はされていないものの、発表内容からするとソースコード盗用を否定していたAngela Game側が折れるかたちで和解となり、結果的に双方が手を取り合い『Myth of Empires』を盛り上げていく方向性で一致したようだ。言及されたPCゲームストアでの再リリースは、おそらくSteamを指しているのだろう。またコンソール版の発売も決定。ふたたび本作が、かつてのような賑わいを取り戻すことができるのか注目されそうだ。