『ARK: Survival Evolved』からソースコードを盗用した疑惑により、中国サバイバル『Myth of Empires』がSteamから消失

 

中国のデベロッパーAngela Gameが手がけるサバイバルゲーム『Myth of Empires』に、『ARK: Survival Evolved』(以下、ARK)からのソースコード盗用疑惑が浮上している。先ごろ、Steamからは本作ストアページが突如消失していた。海外メディアPC Gamerがこの原因の詳細について伝えている。


『Myth of Empires』は、マルチプレイ対応のサンドボックスサバイバルゲーム。本作は今年11月18日に早期アクセス配信が開始されたばかり。しかし、現在本作のSteamストアページは消失しており、入手不可能な状態となっている。そして12月9日、海外メディアPC Gamerは消失の理由について報道。同記事によれば、本作がSteamから取り下げられたのは『ARK』開発元などによる、Steam運営元Valveへの要請が原因であるという。

『ARK』は、Studio Wildcardが開発する人気サバイバルゲーム。PC Gamerによれば、Valveへ取り下げ要請をしたのはStudio Wildcardおよびその親会社であるSnail Games USA。訴えとしては、『Myth of Empires』の著作権侵害によるDMCA(デジタルミレニアム著作権法)侵害による取り下げを求めたようだ。


PC Gamerが確認した文書には、Studio Wildcardによる取り下げ要求の根拠や、経緯が記されていたとのこと。まず、『Myth of Empires』のゲームファイル分析した結果として、『ARK』と一致するクラス名や変数名、関数名が何百個と見つかったそうだ。開発プロセスによっては、こうした内部設計が似通うことは珍しくはない。しかし、多量に被っている場合は開発者が意図したか、ソースをコピーした可能性が高い。この結果が事実であれば、即座に動かざる証拠とはならないものの、ソースコードの盗用を強く示唆している。

また、ソースコード流出のルートについても触れられている。報道によれば、『Myth of Empires』主要開発者には、Snail Games本拠地であるSnail Games Chinaの元従業員が含まれるとのこと。そして、『ARK』のソースコードへのアクセス資格をもっていた従業員もいるそうだ。Studio WildcardとSnail Games USAは、そうした従業員がソースコードを盗用したと主張している。一連の訴えは現地時間12月1日にValveに向けて送られたとのこと。そして、12月3日には『Myth of Empires』がSteamから取り下げられることとなった。


一方でAngela Game側は、PC Gamerの報道の前日となる12月8日、Steamからの取り下げに関する公式声明を出している。「コミュニティで広まっている、取り下げ理由に関する噂」を否定する内容だ。同声明によれば、本件についての詳細は法的プロセスへの影響もあり、現在は明かせないとしている。しかし、同社は問題について解決できると見込んでおり、早いうちに販売再開できるようにすると伝えた。


なお本件について、筆者の観測した範囲ではSnail GamesおよびStudio Wildcardの公式発表は見られなかった。DMCA侵害による取り下げ要請の事実を含め、事件の背景について明らかになるのはこれからだ。『Myth of Empires』は再びSteamに並ぶことができるのだろうか。