「ゲームのレベルデザイン」過程を『サイバーパンク2077』『Apex Legends』などの開発者が共有。のっぺりから美麗マップになるビフォーアフターいっぱい
現在X(旧Twitter)上にて、ゲームのレベルデザインを見せあうイベント「#Blocktober」に、開発者たちから多数の投稿が寄せられている。『Star Wars ジェダイ:サバイバー』や『Apex Legends』といった著名タイトルの開発過程が垣間見える資料も、デザイナーらなどがお披露目している。
「#Blocktober」は10月を記念して、ゲーム開発者たちが自らの手がけたレベル(マップやステージ)を共有する催し物だ。10月にアート作品を共有しあうWeb上のチャレンジ「Inktober」などの類型ともいえるだろう。Blocktoberでは、ゲーム開発者たちがテスト段階の仮組み(Blockout)などからレベルデザインを共有。なかには著名ゲームにおける「開発中マップと完成品マップの違い」などが垣間見える投稿も寄せられ、盛り上がりを見せているのだ。
たとえば、上述の投稿は『サイバーパンク2077』および拡張パック「仮初めの自由」に、シニア・レベルデザイナーとして携わったMax Pears氏によるもの。投稿に添えられたのは、同拡張パックにて訪れられるマップの開発途中・および完成状態と見られる画像だ。まず、開発途中の仮組み状態では、道路や建造物のディティールがつるりとして乏しいことがわかる。全体のレイアウトを策定するために、細部は後回しにしたかたちかもしれない。一部の樹木などは、形状のイメージのためか緑色の円筒をざっくり組み合わせた状態となっている。
一方で、完成品になるとぐっとディティールが増し、ドッグタウンの一区画としての風格がはっきり出ている。なお、Pears氏は建物内部の仮組み状態の画像も共有している。恐竜はブロックで組み立てたおもちゃのような見た目をしており、頭に黒いハットを被せるような遊び心もあったようだ。美術含めてのレベルデザインであることや、その制作プロセスが垣間見える資料だろう。
上述の投稿は、そうしたプロセスがタイムラプスでわかる例だ。こちらは『Sniper Elite 5』のレベルのひとつで、投稿したのは開発元Rebellionで環境アーティストを務めるPeter Dimitrov氏である。あたかも初代PlayStationタイトルような荒い地形に建造物や草木が乗っている状態から、どんどん草木や塀が追加され、レイアウトも複数回大きく変化。シューター作品としての設計も織り込んだ調整がなされたのかもしれない。なお、こちらは環境アートはDimitrov氏が、デザインはJosh Povey氏が手がけたといい、どこがどう分担されたのかを考えてみるのも一興だろう。
ほかにも、著名タイトルに携わった開発者たちがさまざまなレベルデザインのビフォーアフターを公開している。『プレイグ テイル -レクイエム-』に携わったLaura Mas Maury氏は、同作ののぺっとした仮組みと完成品の画像を提示。テクスチャ・マテリアル設定・シェーディングといった要素がいかに素材の質感や空気感に寄与するか、はっきりわかるような比較画像となっている。
『Star Wars ジェダイ:サバイバー』についても、複数の開発スタッフが開発途中の様子を共有。本来は歴史を感じさせる建造物が、あたかもウレタンブロックのような見た目のパーツでざっくりと仮組みされていた様子がわかる。また、マルチプレイタイトルとしては『Apex Legends』マップのビフォーアフターなどが公開。大規模タイトル以外でも、インディー開発者が開発中ゲームのレベルデザインを共有し、注目を集めたりもしているようだ。
なお、BlocktoberのXアカウントでは、ほかにも多数のレベルデザインが紹介されている。ハッシュタグ「#Blocktober」を検索して閲覧してみるのもよいだろう。普段見ることのない舞台裏を通じて、見知ったゲームや開発現場の新しい側面を知れるかもしれない。