『VALORANT』公式大会にてチート使用選手所属チームが失格。疑惑の選手に“プロフ写真AI生成”の可能性浮上

 

Riot Gamesは10月7日、『VALORANT』の公式大会「VALORANT Game Changers 2023」の北米大会にて、アンチチートシステムにより、アマチュアチームnoot nootのメンバーから不正が検知されたとした。同チームは失格処分となったようだ。

『VALORANT』はRiot Gamesが手がける、基本プレイ無料FPSだ。本作はRiot Gamesを主催として数多くの大会が開かれており、「VALORANT Game Changers 2023」もそのひとつだ。

本大会はオンラインにて開催されている、女性やノンバイナリー、トランスジェンダーの人を対象とした『VALORANT』の世界大会だ。各地域で大会がおこなわれ、成績上位や優勝したチームが、世界王者を決める決勝トーナメント「Game Changers Championship」に出場できる。北米大会はSeries 1から3まであり、Series 3の優勝チームと、順位によって貰えるポイントの全シリーズにおける合計が一番高かったチームが決勝トーナメントに進出可能となっている。

今回話題となっているチームnoot nootはその北米大会に出場していたアマチュアチームだ。同チームは今年初頭から活動しており、前哨戦となるトーナメントを勝ち残ってSeries 3に出場していた。


そんなnoot nootのメンバーに対してRiot Gamesのアンチチートツールにより不正が検出されたことが発表された。検出されたのはnoot noot対Complexity GX3の試合。試合はそれぞれが1マップずつ取得し、最後の3マップ目に入る前というところだった。大会規則によってnoot nootは失格となり、同チームの敗退が決定した。VALORANT Esports NAからの発表では、具体的に不正行為をした選手の名前は明示されなかったが、Malibu選手が不正行為をしたとみられている。

そのMalibu選手の視点をまとめた動画がX上に投稿されている。動画内のすべてで不正をおこなっていたかは明らかではないが、1対多数においても素早く頭を撃ち抜くエイム、相手の居場所がわかっているかのような動き方など、人間業とは思えない動きが多くみられる。

https://twitter.com/xeaffy/status/1710159514367119864

またMalibu選手については、顔写真がAIによって生成されたものではないかという疑惑もある。その内容を投稿したのはeffysことLoic Sauvageau氏。Loic氏はVersion1というチームのコーチであり、同チームはnoot nootと同じく「Game Changers North America Series 3」に出場していた。Loic氏はAI画像を検出するWebサービス「Optic AI or Not」でMalibu選手の写真を解析し、同選手の写真がAI生成されたものであると判断されたことを報告した。

Malibu選手の写真がAIによって生成されていたとすると、登録選手としてのプロフィールなども信ぴょう性が疑われるところ。なおnoot noot公式Xアカウントは、この一連の事件についてファンに謝罪しつつも「なぜこうなったのかについての情報はこれ以上ない」と投稿し、さらなる情報を待っていると述べている。

そういった不正行為や疑惑を抱えつつ敗退することになったnoot noot。このことでRiot Gamesは、同チームが関わった試合についてnoot nootが勝利したDisguised GC(DSG)を復帰させるなどの対応を検討していたという。しかし最終的に、複数のチームに不公平な影響を与えてしまうことになるため、noot nootが関わった試合の結果を無効とせず、再試合もおこなわないことを発表した。またRiot Gamesは今回の事態を真摯に受け止めているといい、「試合の競技性を損なおうとする者に対して重大な措置を検討する」としている。

このことについて、noot nootに敗北したDSGのオーナーであるJeremy Wang氏は今回のRiot Gamesの対応を「現実的な判断」として受け入れつつも、このような事態を招いたセキュリティーの不備を究明することを求めた。さらに続けて、Riot Gamesが盛りあげようとしているGame Changersという競技シーンに注ぎ込んだ金銭と時間の投資が無駄になってしまったともコメント。同社に対する失望をあらわにした。ユーザーからもRiot Gamesへの批判や、DSGに寄り添うコメントが寄せられている状況だ。

競技シーンが活発な『VALORANT』では、アンチチートシステムVanguardなど、さまざまなチート対策が講じられている作品だ。一方で今回はオンライン開催とはいえ、公式大会で不正行為が明らかになったかたち。今後このような行為が繰り返されないような、再発防止策の拡充が望まれるところだろう。