約10年続いた中世MMORPG、10月末でサービス終了・スタジオ閉鎖へ。経済的な原因に、開発チーム働きづめによる“燃え尽き症候群”も加わり

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デベロッパーのBlack Eye Gamesは9月1日、MMORPG『Gloria Victis』について、9月より始まる新シーズンを最後とし、現地時間10月31日にサーバーを閉鎖することを発表した。サービス終了の理由については経済的な面と“燃え尽きてしまった”ことと説明されている。


『Gloria Victis』は中世ヨーロッパを舞台としたMMORPGだ。プレイヤーは兵士の一人となり、斧や槍、弓などの武器を用いて戦い敵勢力の陣地を奪う。3つに分かれた陣営でそれぞれ争い、別陣営に属するプレイヤーと対人戦をおこなうこととなる。対人戦は偶発的に起こることもあるが、イベントとしての発生もあり、常に勢力が競り合っている。作中では攻城戦も可能で、投石機や弩砲などの兵器を用いた戦闘ができるようになっている。

そんな本作について、開発運営元のBlack Eye GamesがSteam上でサービスの終了を発表した。日本時間9月1日より始まる新シーズンが最後のシーズンとなり、その最終日である現地時間10月31日、日本時間では11月1日にサーバーを閉鎖する流れとなる。同スタジオは、プレイヤー作成サーバーで遊べるようなバージョンは作れないとしているため、サーバー閉鎖以降は本作を遊ぶ手段は失われてしまうと思われる。


本作を手がけるBlack Eye Gamesはポーランドのインディースタジオで、『Gloria Victis』チームの人数は15人ほどだったという。また本プロジェクトは後述するとおりクラウドファンディングキャンペーンに失敗しており、パブリッシャーもおらず予算がない状態でスタート。ゲームを新たに展開するための経済的なリソースがなくなったことが大きな理由として挙げられている。さらにMMORPGを運営するにあたって24時間365日サービスを提供し続ける必要があり、長い間チームは働きづめになっていたとのことだ。休息が満足に取れなかったことで燃え尽き症候群のようになってしまったこともあり、同スタジオは本作のサービス終了を決断するに至ったという。

Black Eye Gamesは2012年にKickstarterにて33日間のクラウドファンディングキャンペーンをおこなっていたが、支援額は目標額7万6322ドル中(約1100万円・現在のレート)の3分の1程度に留まり、目標額に達しなかった。しかし、同スタジオは本作の開発を続け、2013年にはプレアルファ版が公式サイトにてリリースされ、2016年6月には早期アクセスとしてSteamで配信を開始していた。そこから度重なるアップデートを経て、プレイヤーの平均同時接続数は500人前後で推移。また2023年2月には正式リリースされ、正式リリース直後は最大同時接続プレイヤー数が4000人を超えていた(SteamDB)。

正式リリースを迎えた際には一定の盛り上がりを見せたものの、Black Eye Gamesは本作のサービスを終了するという決断に至ったようだ。開発チームは最後に、『Gloria Victis』のプレイヤーや、10年以上の運営開発を支えてきてくれた人々に感謝を伝え、今回の発表を締めくくった。なお本作のサービス終了と共にBlack Eye Gamesも閉鎖される運びになるという。スタジオ閉鎖にともなって、『Gloria Victis』の開発者が新たな職に就けるよう、現在すでに業界の友人に向けてはたらきかけているとのことだ。


インディーゲームは近年非常に多く配信され、なかには大規模開発ゲームに勝るとも劣らない人気を見せるタイトルも存在する。一方インディーデベロッパーは基本的には個人、あるいは少数の人員によって構成されている。特にMMORPGなどの、開発だけでなく継続的なオンラインサービス提供やサポートが必要なジャンルでは、小規模な人員で対応し続ける必要がある。予算だけでなく、スタッフの士気も運営の継続に関わるわけだ。

今回の『Gloria Victis』は一定の成功を収めており、プレアルファ版から数えて約10年間にわたってサービスが続いたものの、スタッフの“燃え尽き”も原因のひとつとなりサービス終了に至ったかたち。小規模なスタジオが長きにわたって運営型ゲームを継続させることの難しさが表出した事例といえるだろう。

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