『オーバーウォッチ2』の“Steam圧倒的低評価”を受けてか「開発者への愛と感謝を伝える」タグが突如流行。開発陣も感謝の言葉をお返し

海外コミュニティとSNSを中心に、『オーバーウォッチ2』開発陣への愛と感謝を伝える「#OWDevAppreciation2023」タグが流行しているようだ。

海外コミュニティとSNSを中心に、『オーバーウォッチ2』開発陣への愛と感謝を伝える「#OWDevAppreciation2023」タグが流行しているようだ。同タグを使用したムーブメントは、本作のコンテンツクリエイターやユーザーなどを中心として拡大の動きを見せている。運動の背景としては、Steamユーザーレビュー“圧倒的低評価”が起因しているだろう。


『オーバーウォッチ2』は、Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)が手掛けるオンライン対戦FPSゲーム。人気を博した『オーバーウォッチ』の続編として、基本プレイ無料タイトルとして配信中だ。基本対戦人数を6対6から5対5へ変更し、シーズン制の導入などで前作から一新した続編タイトルとなっている。

そんな同タイトルの開発陣を称え、愛と感謝を込めて投稿する「#OWDevAppreciation2023」タグが現地時間8月15日に突如出現。同タグは『オーバーウォッチ2』のコンテンツクリエイターやユーザー等を中心として、X(旧Twitter)・Instagram・TumblrなどのSNSで流行しているようだ。このムーブメントの背景には、直近のSteamユーザーレビューの“圧倒的低評価”があると考えられるだろう。


『オーバーウォッチ2』はその前身である『オーバーウォッチ』含め、長らくBlizzardが運営するBattle.netクライアントからのみ、プレイが可能なタイトルであった。しかしシーズン6の開幕とあわせてSteam版が配信開始。Steamでのプレイが可能となったが、ユーザーによるいわば“低評価爆撃”を受ける結果となってしまった。低評価を受けた背景には、本格的なPvEモードの配信計画の大きな方針転換やNetEaseとの中国現地パートナー契約終了などがあるとみられている(関連記事)。また、『オーバーウォッチ』から実質地続きで運営されている本作がSteamに進出したことで、古くからのプレイヤーの間で蓄積された不満がユーザーレビューとして可視化された側面もありそうだ。Steamという新たなプラットフォームからの船出であったが、決して順風満々な漕ぎだしというわけではなかったわけだ。

こうした状況受けてか、コンテンツクリエイターやユーザーたちのあいだで『オーバーウォッチ2』開発陣への愛と感謝を込めた「#OWDevAppreciation2023」タグの投稿運動が事前計画されていた。このタグを使っての投稿の呼びかけは、ユーザー間で内密に共有されていたようである。同タグを載せた感謝の声は現地時間8月15日の解禁日と共に一斉に投稿され、瞬く間に海外コミュニティを中心に広まることとなった。投稿内容はゲームのキャラクターや世界観などを称賛する声や、長年のサービス継続に感謝する声など多岐にわたる(参照1参照2)。なかには『オーバーウォッチ』を通して出会った友人やコミュニティに触れ、繋がりの場を作り上げてくれたことに感謝する言葉も見られた(参照1参照2)。

このムーブメントによる声は、『オーバーウォッチ2』のゲームディレクターであるAaron Keller氏のもとにも届いたようだ。同氏はXを通して、すべてのプレイヤーへの感謝の気持ちを伝えている。コミュニティが主導となって始まった運動に、強く心を動かされたという。なおAaron氏以外にも、本作のシニアキャラクターアーティストであるRakan Khamash氏など、ほか開発陣もコミュニティに対して感謝の気持ちを伝えている(参照)。


Steamユーザーレビューでの『オーバーウォッチ2』の評価は厳しく、課題も多く残されている。しかしプレイヤー数はSteamだけでも一定の水準を保っており、依然として大型FPSタイトルである点は変わらないだろう(SteamDB)。批判を受けたPvEの方針変更も、少しずつ別のかたちで実装が予定されている。前作『オーバーウォッチ』から培ってきたコミュニティとの繋がりの強さを確かめながら進化していく『オーバーウォッチ2』が、さまざまな課題を解決していけるか。今後に注目したい。

Mayo Kawano
Mayo Kawano

豪州在住の薬剤師およびにゲーム翻訳者。サバイバルクラフトゲームを主食として、ステルスゲームはデザートとする。

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