『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の“幻の開発初期版”を再現するプロジェクトが発表され注目を浴びる。粗いグラフィックで蘇るカットされた要素たち
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の“プロトタイプ版”を再現するファンメイド映像が公開され、注目を集めている。インターネット上のユーザーらにより「発掘」された、25年以上前の各種資料をもとに制作されているようだ。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』はNINTENDO64向けに1998年11月に発売されたアクションRPGだ。これまで2Dメインだったシリーズ作品から一転してグラフィックは3Dとなり、背中越しの視点が採用された。国内では約145万本を売り上げたことが伝えられているほか、世界では約760万本が販売されており国内外で高い人気を誇る作品だ。移植やバーチャルコンソールなどが展開されてきたほか、ニンテンドー3DS向けには『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』としてリメイクされている。
今回、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の“プロトタイプ版”を再現したファンメイド映像が注目を集めている。『スーパーマリオ64』向けの非公式Mod制作者Kaze Emanuar氏が主宰するオンラインショーケース番組「F3 2023」にて公開された映像だ。F3 2023では『スーパーマリオ』シリーズ作品をメインに、さまざまなレトロ作品の非公式Modが紹介。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の非公式“プロトタイプ版”再現はその大トリを飾っている。
公開されたのは「Zelda 64」と銘打たれた非公式プロジェクトのゲームプレイ映像だ。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』風のグラフィックであり、バクダンやニワトリといった同作内の要素が確認できる。一方で、ゼリー状の敵や翼の生えた青い精霊のようなキャラなど『ゼルダの伝説 時のオカリナ』にはない要素も見られる。またドドンゴやスタルフォスと見られる敵も登場しているものの、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』よりもシンプルな3Dモデルとなっている。ハートやルピーのUIも異なっており、リンクのモデルを含む各種3Dグラフィックは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』よりも粗い印象を受ける。
プロジェクト名である「Zelda 64」とは、任天堂が用いていた『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の仮タイトルだ。仮タイトルやそのゲームプレイ映像は、かつて開催されていた任天堂ハード向け作品の展示会「スペースワールド」のほか、「E3 1997」などで披露されていた。ファンによる非公式プロジェクトである「Zelda 64」は、仮タイトル時代の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』開発初期版を再現しようという試みのようだ。
Kaze氏によると「Zelda 64」の作者は匿名を希望しているそうで、作者の素性などは明かされていない。ちなみに『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の開発初期版については当時の映像などがユーザーらにより発見・報告されており、ゲームからカットされたコンテンツを紹介する情報サイトThe Cutting Room Floorにまとめられている。「Zelda 64」の映像内に見られたスタルフォスやゼリー状の敵などもThe Cutting Room Floorで確認可能であり、非公式プロジェクト「Zelda 64」はそうした情報をもとに制作されているのかもしれない。
なお『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に関しては類似のプロジェクトが存在。「ニンテンドウスペースワールド97」における同作のデモ版を再現する試みがおこなわれている。こちらのプロジェクトは2021年に発見された“『F-ZERO X』の開発用カートリッジ”が発端になっているという。『F-ZERO X』は容量16MBのゲームなのに対して、同カートリッジの容量は32MB。容量が余った部分には『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のデモ版が収められていたそうだ。
つまりニンテンドウスペースワールド97で『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のデモ版として使用された後、データが上書きされて『F-ZERO X』の開発用カートリッジとして使い回されたのかもしれない。いずれにせよ、このカートリッジにおける内容を元にして、当時のデモ版を再現するプロジェクトが発足したようだ。デモ版でプレイできる範囲は限られるものの、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』製品版にはない“ツアー”形式での3種類のゲームプレイ要素が再現されているとのことだ。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は約25年前の作品であり、そのプロトタイプ版やデモ版となると、さらに過去かつ当時の限られた人しか知りえぬバージョンだ。しかしながらファンによって思わぬところから情報は発掘され、当時のバージョンの再現が試みられているようである。
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