『沙耶の唄 AIアプリ』発表、いきなり無料公開。“AI沙耶”の言葉を自由会話で「理解」し、ハッピーエンドを目指すブラウザゲーム

 

株式会社プロケットは7月28日、『沙耶の唄 AIアプリ』をリリースした。PC/スマートフォンのブラウザにて無料でプレイできる。


『沙耶の唄』は2003年12月にPC向けに発売された成人向けサスペンスホラーADVゲーム。ニトロプラスが手がけ、脚本は虚淵玄氏、原画は中央東口氏が担当していた。主人公となるのは、交通事故から奇跡的に生還した医大生・匂坂郁紀。彼は事故の後遺症により、周囲のすべてがおぞましい形に見えるようになっていた。そんな彼のもとに、なぜか普通の人間に見える謎の少女・沙耶が現れ、生活を共にすることになる。しかしこれを機に、彼の狂気は次第に世界を侵食し始めるのであった。

H・P・ラブクラフトの創作に端を発する「クトゥルフ神話」からの影響も伺える特徴的な作風やシナリオが評価を受けた本作。これまでには移植やノベライズといった展開もおこなわれてきた。

このたび、そんな『沙耶の唄』を題材にしたゲーム『沙耶の唄 AIアプリ』がリリースされた。無料公開されており、PC/スマートフォンのブラウザにてプレイできる。本作には大規模言語モデル(LLM)を利用した言語生成と感情分析機能が実装されているそうで、沙耶との会話を楽しめるという。なお本作にはオリジナル版の表現を流用しているため、一部グロテスクな表現も含まれる。プレイの際は留意されたい。

本作では沙耶に話しかける内容で好感度が変化し、物語の結末が変わる。また好感度が上がると徐々に会話内容が理解できるようになり、ハッピーエンドを迎えることが可能だという。


AIを利用したアドベンチャーゲームの先例としては、スクウェア・エニックスが「AIテックプレビュー」として無料配信している『SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE』が記憶に新しい(関連記事)。同作では入力されたテキストの判別に自然言語処理(Natural Language Processing)を採用。1983年発売の『ポートピア連続殺人事件』をもとにした作品となっていた。

本作『沙耶の唄 AIアプリ』も技術検証を目的にしているそうだ。そのため本作では、表示されるテキストの内容や品質などにおいて、不十分または不適切な個所が含まれるという。

いずれにせよ本作は、AIをアドベンチャーゲームに利用する新たな試みとして注目されるところだ。また高評価ホラーADV『沙耶の唄』を題材にしている点も興味深い。気になる人はこちらのページから遊んでみるといいだろう。

『沙耶の唄 AIアプリ』はブラウザ向けに無料公開中だ。なお本稿執筆時点ではアクセスが集中しているためか、動作が不安定な状態になっている。





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