海賊版ソフトと認識すると“大爆音”と共に警告メッセージを送るエミュレーターが注目される。爆音すぎたか、いまは大人しく警告


Xbox 360の非公式エミュレーターXeniaにて、一風変わった海賊版対策が実装されていたことが報告されている。isoファイルを起動した際に警告として爆音が鳴り響いていたそうだが、現在警告音は削除に至ったようだ。


Xbox 360は国内向けには2006年に発売された据え置き型ゲーム機だ。2016年4月に生産終了が発表。本体のバージョンアップは2019年で打ち切られた。またXbox 360向けのマーケットプレイスで配信中の一部タイトルは、2023年2月に配信終了となった(関連記事)。

今回、Xbox 360向けの非公式エミュレーターXeniaのcanary版(開発中バージョン)に、一風変わった海賊版対策機能が実装されていたことが報告されている。iso(ディスクイメージ)ファイルを起動しようとした場合に、警告表示と共に警告音を“爆音”で鳴らす機能だという。なおユーザーからの批判を受けてか、現在同機能は一部削除されているそうだ。TwitterユーザーのMeovvCAT氏が報告している。


MeovvCAT氏によると、現在Xeniaのcanary版ではisoファイル起動時に海賊版に関する警告が表示されるという。そしてその際には、“ボリューム最大”で警告音が鳴る仕様になっていたことが報告されている。さらにこの警告音はWindows側でオーディオを無効にしていても、問答無用で鳴るように設計されていたそうだ。なお警告表示では「isoファイルは一般的に海賊版との関連性がある」とされており、Xeniaの開発チームはこれを見過ごさず、サポートもしないと説明。「我々のDiscordサーバーに入ってくるな」といった拒絶のメッセージも添えられている。なおXbox 360用ゲームのファイル規格はxexであり、現在のXeniaのcanary版ではxexファイルのみサポートされていると見られる。本物のゲームディスクをPCに挿入するなどの運用を想定しているのだろう。

一方でMeovvCAT氏によると、こうした機能は現在一部削除に至っているとのこと。同氏は、isoからxexへの変換が簡単である点を指摘。警告音を爆音で鳴らすといった対策の有効性にも疑義を唱えている。ユーザーらもisoファイルは必ずしも海賊版利用者だけが用いるわけではないといった主張をしつつ、同氏の意見を支持。そうした声を受けてか、現在のcanary版では警告音が廃止されて警告表示が出るのみとなっているそうだ。海賊版行為をやめろという姿勢はともかく、今回の対策の防止効果は疑問だろう。


非公式エミュレーターの利用には、ゲームソフトから「吸い出し」したゲームデータ、いわゆるROMデータが必要となる。オンライン上では、そうしたROMデータの違法配布が常態化。ゲーム機の非公式エミュレーターは、その不正利用にしばしば用いられている。一方で非公式エミュレーターの開発元は公式サイト上などで、海賊版を容認しない姿勢を明記している場合もある。また海賊版に関する話題を、開発元コミュニティ内で取り締まるといった対策も実施されているようだ。しかし、エミュレーター技術は公式な移植に活用されるケースもある一方、海賊版行為と切っても切り離せないのは事実である。

今回のXeniaのcanary版における“爆音”の警告も、海賊版利用者への厳粛な態度を示す狙いがあったのだろう。結果的には批判が寄せられ警告音は削除されたものの、エミュレーター側に強行気味の海賊版対策が設けられるという珍しい事例といえそうだ。