ドワンゴ、「ゆっくり茶番劇」について商標無効審決が下ったと報告。確定すればゆっくり関連商標問題はすべて解決へ

 

株式会社ドワンゴが運営する動画コミュニティサービス「ニコニコ」は7月24日、商標「ゆっくり茶番劇」(放棄・抹消済み)に対して請求していた無効審判について、無効審決が下されたとの通知を特許庁より7月12日付で受領したことを明らかにした。

ことの発端は、「ゆっくり茶番劇」という文字商標が、その言葉の由来である東方Projectとは無関係の人物によって、2022年2月24日に登録されたことにある。同商標権を取得したと主張する人物は当時、同商標登録に関する異議申し立て期間が過ぎたのちに取得を公表。そのうえで、この単語を利用する動画投稿者に対して利用料の徴収を打ち出し、混乱をもたらした。

この事態を受け、「ゆっくり」と呼ばれるキャラクターを用いたコンテンツが多数投稿されているニコニコを運営するドワンゴは、対応に追われることとなった。同社は2022年5月、「ゆっくり茶番劇」商標権の放棄交渉および無効審判請求などをおこなう方針を発表。また同年6月には、「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」の3つの文字列について、同社として商標登録を出願した。これは、ゆっくり関連商標の独占の防止を目的とし、商標登録“できない”ことを確認するための出願であった。結果的に、特許庁は商標登録を拒絶し、ドワンゴは自社の見解とおおむね一致しているとして受け入れた(関連記事)。

そして問題の「ゆっくり茶番劇」商標権については、2022年6月8日付で放棄による抹消登録がなされていることが確認された。これを受けてドワンゴは、先述した放棄交渉を中止。ただし、登録日から抹消日までの間は商標権が発生していた事実が存在することから、もともと商標として登録されるべきでなかったことを明らかにするために、同社は予定どおり無効審判を請求した。

その結果、特許庁は無効審決を下したとの通知を7月12日付で出したとのこと。ドワンゴは、この無効審決は過去にさかのぼり「はじめからなかったこと」にして、当該商標権を打ち消すものであるとコメント。一定期間内に、今回の審決に対する取消訴訟が提起されなければ、「ゆっくり茶番劇」の登録を無効とすべきと判断した無効審決が確定する、と説明した。また、この無効審決の確定をもって、「ゆっくり茶番劇」にまつわる商標権についての問題が、すべて解決することになるとした。