『Starfield』、AMDとの「独占パートナーシップ」発表。一方でDLSS対応をめぐる懸念あり

AMDは6月27日、同社が『Starfield』PC版の“独占パートナー(Exclusive PC Partner)”であると発表した。これを受けて超解像技術を巡る懸念がユーザー間に渦巻いている。

半導体メーカーのAMDは6月27日、同社が『Starfield』PC版の“独占パートナー(Exclusive PC Partner)”であると発表した。これに対して、本作が対応する超解像技術がFidelityFX Super Resolution(FSR)限定になるのではないか、との懸念がユーザー間に渦巻いている。


『Starfield』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズで知られるBethesda Game Studiosが、25年ぶりに手がける完全新作RPGだ。人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険する。

本作には100以上の星系に1000以上の惑星が存在し、プレイヤーはすべての惑星について、好きな場所に着陸して探索できるという。惑星によっては高度に発展した都市があり、多彩なクエストも用意されているそうだ。また、プレイヤーキャラクターのカスタマイズ要素も充実。人物のバックグラウンドも設定できるほか、スキルによる強化も可能。そのほか宇宙船にはさまざまなタイプが存在し、カスタマイズ・アップグレードが可能だそうだ(関連記事)。


今回、AMDが本作PC版の独占パートナーとなることが発表され、ユーザー間にある“懸念”が渦巻いている。AMDはCPU「Ryzen」シリーズを手がけているほか、グラフィックボード(GPU)として「Radeon」シリーズを展開している半導体メーカーだ。ユーザーが抱く懸念は、このRadeonシリーズが対応する、いわゆる超解像技術であるFSRに向けられている。

FSRを有効にすると、低解像度でゲーム画面がレンダリングされ、独自アルゴリズムによってグラフィックがアップスケールされる。これによりGPUの負荷を抑えながら高画質を得られるとされ、同時にフレームレートの向上も見込めるという技術だ。GPUを手がける大手半導体メーカーは各社同様の技術を開発しており、NVIDIAはDLSSを、IntelはXeSSを提供している。

一方で各超解像技術は、基本的にそれぞれのメーカーのGPUに最適化された機能である。またPCゲームにおいては、どの超解像技術に対応するかはタイトルによってまちまち。すべての超解像技術に対応するゲームもあれば、特定の超解像技術にしか対応していないタイトルもある。今回『Starfield』PC版がAMDとの独占パートナーを結んだことが発表され、同作は超解像技術としてFSRにしか対応しないのではないか、といった懸念が生じているわけだ。


なおFSRは、DLSSに対応していない一部NVIDIA製GPUも含めて、幅広いGPUで用いることができる機能だ。幅広い環境をカバーできる超解像技術として有力な選択肢でもあるだろう。一方でNVIDIA製GPUユーザーには、同社の超解像技術であるDLSSを優先して利用したいユーザーも一定数いると見られる。公開されたYouTube動画のコメント欄には「DLSSにも対応してほしい」といった要望が数多く寄せられている。一方で今回の動画では、AMDが『Starfield』の独占パートナーであることが発表されただけであり、本作がほかの超解像技術に対応しないと明言されたわけではない点には留意したい。

動画では本作のディレクター兼エグゼクティブプロデューサーを務めるTodd Howard氏がパートナーシップについて解説。本作の開発はAMDとの協力のもとで進められてきたといい、本作のゲームエンジンCreation Engine 2の改良もAMDと共に進められてきたそうだ。またAMDの開発者がFSR 2.0に向けた本作のコードベースの構築を手がけたそうで、FSR 2.0利用時の驚くべき(incredible)品質を実現しているという。『Starfield』がほかのGPUの超解像度技術に対応するかどうかは不明ながら、少なくともRedeonシリーズに最適化されたゲームとなるのだろう。


なおValveが公開している「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」によれば、2023年5月はSteamユーザーのうち76.37%がNVIDIA製のGPUを使用していたという。対してAMD製GPUは14.83%とされている。こうした割合は過去の調査でも同様であり、SteamにおいてはNVIDIA製のGPUがシェアの大部分を占めている状況だ。

『Starfield』はオープンワールドゲームであり、広大なフィールドや都市を描き出す際には負荷も大きくなると見られる。超解像技術を最大限活用してパフォーマンスを底上げしたいユーザーもいることだろう。そうした背景もあってか、今回のAMDによる「独占パートナーシップ」の発表には、超解像技術がFSRに限定される可能性への懸念が寄せられている状況にある。今後、『Starfield』が対応する超解像技術が具体的に発表されるかどうかも注目される。

『Starfield』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。また、Premium Edition以上のバージョンを予約購入すると最大5日間の先行プレイが可能。

【UPDATE 2023/6/28 17:31】
FSRについて記述を修正・追記

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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