マイクロソフト/inXile Entertainmentは6月12日、『Clockwork Revolution』を発表した。スチームパンクを世界観に盛り込んだ本作について『BioShock Infinite』との類似性が指摘され、マイクロソフトが反論の公式声明を出すに至っている。
『Clockwork Revolution』は、マイクロソフト傘下スタジオinXile Entertainmentが手がける、時空をテーマとしたスチームパンク一人称視点アクションRPGだ。本作の舞台となるのは、ヴィクトリアン調の建築が特徴的な大都市アヴァロン。この都市は蒸気機関の力によって栄え、設置されたレールや路上・空中を、機械や人々が縦横無尽に移動している。主人公は偶然にも過去へと旅ができる発明と出会い、歴史改変によって栄えるアヴァロンの真実と、都市を牛耳るLady Ironwoodの所業に介入していくことになる。本作は現在PC(Steam)およびXbox Series X|S向けに開発中だ。
そんな本作には、別の一人称視点アクションRPG『Bioshock Infinite』に似ているとの指摘が寄せられている。『BioShock Infinite』は、別スタジオのIrrational Games(現・Ghost Story Games)が手がけ、2013年にリリースされた作品だ。同作の舞台となるのは、目覚ましい技術発展によって栄えた空中都市コロンビア。スチームパンク的デザインが盛り込まれたこの都市には、レールが縦横無尽に設置され、人々が行き交っている。私立探偵である主人公はとある依頼を受け、平行世界への扉を開く力をもつ少女と出会う。そして少女との逃避行のさなか、コロンビアの行く末に介入し、都市を牛耳る男カムストックの真実を知ることになる。
どちらの作品も、「現実と違う技術発展を遂げ栄える都市」といった、スチームパンク的要素を盛り込んだ一人称視点アクションゲーム。類似性は感じるだろう。また、「過去の小さな行動が未来に多大な影響を与える」現象であるバタフライエフェクトなど、両作に共通するテーマもある。実際、本作が6月12日にXbox Games Showcaseにて発表された際には、数多くのユーザーたちがYouTubeコメント欄などで『BioShock』の名を口々に語っていた。そんな両作について「『BioShock Infinite』のトレイラー製作に携わった」とするユーザーが類似性を強く主張し注目が寄せられている。
TwitterユーザーのButmac氏は、10年ほど前に『BioShock Infinite』トレイラーに携わっていたとコメント。それゆえに『Clockwork Revolution』のトレイラー映像に多くの類似性を見出したとして、自身のTwitterアカウント上にて両タイトルを比較するような画像を投稿している。レールが張り巡らされた都市デザインなど、デザイン上の類似点があるのはやはり間違いないだろう。こうして、「『Clockwork Revolution』が意図的に『BioShock Infinite』を真似ているのではないか」との見方が急速に広まったわけだ。この投稿は注目を集め、米IGNなどが取り上げるに至っている。
一方で、『Clockwork Revolution』開発元を傘下におさめるマイクロソフトは、本件について米IGNに対して「真似」を否定するコメントを出している。同社担当者は米IGNの問い合わせに対して「すべての類似性は意図しないものである」と明言。また、主人公キャラクターはプレイヤーによって広範囲にカスタマイズ可能である点を伝えている。これは「『BioShock Infinite』に類似したキャラが登場している」とのユーザー指摘に対する否定でもあるだろう。また、開発元CEOであるBrian Fargo氏は、本作はRPG要素に重きを置いた作品であることを伝えている。そちらもアクションの比重が高かった『BioShock Infinite』との差異を示す意図だろう。
「スチームパンク」という共通の世界観もあり『Clockwork Revolution』と『BioShock Infinite』が似通うのは仕方ない側面もあるだろう。そして『BioShock Infinite』自体が独特のアートスタイルもあわせて高い評価を受けた作品でもある。影響が後年の作品に現れたとしても自然なことだろう。いずれにせよ、『Clockwork Revolution』はまだ発表されたばかりであり、今後アートスタイルやゲームプレイ含めて詳細が明かされていく段階だ。同作と『BioShock Infinite』の類似性は、そうした詳細を把握してから判断した方がよさそうだ。
『Clockwork Revolution』はPC(Steam)およびXbox Series X|S向けに開発中。Xbox Game Pass向けにも提供予定だ。