『ポケモンSV』大会にて「ゆびをふる」抗議で失格になった選手たち、韓国公式大会から無期限追放。複数の理由により

ポケモンの韓国支社Pokémon Koreaは6月9日、開催中止された『ポケモンSV』公式大会マスターカテゴリ決勝について続報を発表した。失格となった選手全員に対し今後同社が主催する大会への参加を無期限禁止とすることなどが明かされている。

株式会社ポケモンの韓国支社Pokémon Koreaは6月9日、開催中止された「Pokémon Trainers Cup 2023 Final Round」マスターカテゴリについて続報を発表した。同大会は、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモンSV)公式大会だ。同大会では6月3日に、出場選手4名全員の出場権がはく奪され、開催中止となることが発表されていた(関連記事)。

一方、出場選手らは大会運営姿勢への抗議をおこなった結果、それが規約違反行為とみなされて失格となったことを明かしており、この選択に「後悔はない」とコメントしていた。今回Pokémon Koreaが発表した続報では選手らの、新たに確認された違反行為について説明されている。一連の違反を受けて、出場選手4名全員に対し今後同社が主催する大会への参加を無期限禁止とすることなどが明かされている。


「PTC 2023 Final Round」は、韓国での『ポケモンSV』公式大会の決勝戦。今回中止されたのはマスターカテゴリでの大会であり、2006年以前生まれのプレイヤーが対象となる。同大会においては、事前に大会にて使用するパーティを登録する方式がとられていたと見られる。そして出場選手4名は、すべてのポケモンに技をひとつしか覚えさせていないパーティを登録していたとされている。

これについて運営側は、正常な対戦および大会運営ができないと判断。さらに6月3日時点の発表では、そうしたパーティ登録が公式大会の規約に違反する行為とみなされたため、4名の選手から本大会の出場権がはく奪されたと説明されていた。具体的には「ほかの参加者に被害を与えたり、不快なイメージを与えたりする行為」「任天堂ならびにThe Pokémon Company(およびその子会社)が不適切であると判断する行為」に該当していたとの判断が下されたとのことであった。


一方でPokémon Koreaの6月9日の発表内容においては、4名の選手がおこなった違反行為について、新たに確認されたという2つの行為が説明されている。「全選手のチームに不正改造されたポケモンが含まれている点」および「選手全員が事前に合意し、大会内容を操作することができた点」が新たな違反行為として確認されたそうだ。大会の利用規約違反が複数確認されたため、4名の選手はPokémon Koreaが主催する今後の大会から無期限参加禁止となることが伝えられている。

出場選手のひとりであるBingha氏は6月3日に、出場選手らが大会運営への抗議のために結託していたことを伝えており、全員“ゆびをふる”パーティで参加する点については事前に示し合わせていたと見られる。そうした状況から「選手全員が事前に合意し、大会内容を操作することができた」とみなされたのだろう。

「全選手のチームに不正改造されたポケモンが含まれている」点については具体的な改造内容や発見の経緯などは不明。Pokémon Korea側が事前登録されたパーティのデータから発見した可能性などが考えられるものの、真相は当事者たちのみが知るところだろう。

出場選手4名が大会運営に抗議活動をおこなった理由については、4名のうちのひとりであるNash氏が説明している。同氏は本作の世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」(以下、WCS 2023)を含めた『ポケモンSV』大会の開催形式が、適切にプレイヤースキルを測れないといった問題点を抱えていたとの見解を説明。さらにPTC 2023の決勝予選となるオンライン大会にさまざまな問題が発生していたことや、運営側のその後の対応にも問題があったとの見方を示していた。

日本国内でもオンライン大会において複数の問題が発生。問題を修正するアップデートがおこなわれたうえで後日大会が追加開催され、決勝戦への出場枠も拡大された(関連記事)。一連の問題は、韓国のプレイヤー向けに5月14日にオンライン開催されたPTC 2023の決勝予選でも起こっていたようだ。一方で同大会においては問題を受けた対応として、大会の追加開催ではなく5月28日に“再開催”になったと見られる。

なおPTC 2023決勝予選では上位4名が決勝に進出し、上位16名がWCS 2023への出場権を獲得するかたちとなっていた。5月14日に5位に入賞していたlupang氏も大会再開催の影響を受けたひとり。同氏は5月28日の再開催には時間の都合で参加不可能であると伝えていた。そのため5月14日に獲得していたWCS 2023への出場権を取り戻す機会がないまま手放すかたちになったわけだ。

一方的に決定された開催スケジュールにより、なすすべなく決勝戦やWCS 2023への道を閉ざされたプレイヤーはほかにもいるかもしれない。こうした背景もあってか、Nash氏はPokémon Koreaが選手に対する礼節を欠いていると批判。抗議活動の根幹にある原因であると説明していた。

今回のPokémon Koreaの発表についてもNash氏は反応。韓国公式大会への無期限出場停止という重い罰が下された点について「抗議活動への見せしめとなるようなペナルティである」といった批判を展開している。Nash氏のツイートには同氏らの行動を支持する反応が引き続き寄せられており、今回のPokémon Koreaの発表はコミュニティと大会運営側の溝を深める結果となったようだ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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