Twitch、「画面隅スポンサー表示」を厳しく制限し配信者から批判殺到。Twitch側は謝罪し改訂を目指す
ライブ動画配信サービスのTwitchは現地時間6月6日、「ブランドコンテンツに関するガイドライン」を更新した。スポンサー広告などについての制限・禁止事項が新設され、厳しすぎる制限内容にストリーマーからの批判が続出。Twitch側は“狙いどおりではない”変更内容になっていた点を謝罪し、今後ガイドラインを改訂することを伝えている。
Twitchにおけるブランドコンテンツとは、ストリーマーが収益や商品、サービスの受け取りなどの対価を得て、製品やサービスを登場させて制作されたコンテンツとされている。つまり、配信内でスポンサー製品を宣伝したり、カメラに映る背景となる場所に製品を展示したり、スポンサーのロゴを配信画面にオーバーレイ表示したりする場合が該当するだろう。
今回のガイドライン更新により、ブランドコンテンツにおいて新たに制限・禁止事項が設けられる。まず配信中のスポンサーロゴのオーバーレイ表示については、画面サイズの3%に限定。またストリーマーはライブ配信に直接ビデオ広告やバナー広告、音声広告などを挿入できなくなるという。そのほか更新後のガイドラインにはタバコやタバコ関連製品、医療施設および医療製品、政治的なコンテンツなどの宣伝が禁止になることも追記されている。なお新たなガイドラインはストリーマー側の対応期間を設けるため、7月1日から施行されることが伝えられている。
上記のようなブランドコンテンツに関するガイドラインの更新を受け、海外ストリーマーたちからは批判が殺到。たとえばTwitchでのフォロワー数340万人以上を誇るAsmongold氏は、新たなガイドラインでは、これまで一般的に用いられてきた無害な広告も禁止対象となっている点を批判。ストリーマーたちはほかの配信プラットフォームへの移行を検討すべき状況だとしている。同氏の意見を支持するストリーマーのほか、同様の意見も散見される。
また格闘ゲームイベントCEO Gamingの創設者Alex Jebailey氏は、新たなガイドラインに準じて活動すればライブ配信イベントにおけるスポンサーがいなくなってしまうだろうとの見解を述べている。ライブ配信のゲームイベントでは大きめのスポンサーロゴ表示がおこなわれる場合も多い。画面サイズの3%という制限下ではこうしたロゴが目立たなくなり、宣伝施策とする企業も減ってしまうだろう。
こうした反応を受けて、Twitch公式Twitterアカウントは声明を発表した。ブランドコンテンツに関するガイドラインにおいて、過度に広範な内容を更新していたと説明。そのため混乱や失望を招いた点について謝罪している。また続くツイートによると、ストリーマーがスポンサーと直接契約を結ぶことを制限するつもりはないという。スポンサー契約が、ストリーマーが収益を得る重要な方法である点も理解していると伝えられている。
そして今回のガイドライン更新の狙いは、あくまでサードパーティの広告ネットワークがTwitchの配信上で動画広告やディスプレイ広告を流すのを禁止することにあった、とされている。一方で更新後のガイドラインは“狙いどおりではない(missed the mark)”内容になっており、今後より明確なガイドラインに改訂されるとのこと。改訂後に改めて案内がおこなわれるそうだ。
スポンサー広告に関するガイドラインが大幅に変更され、配信者からの批判が渦巻いた今回の一幕。Twitch側は“過度に広範”な刷新をしてしまったと述べ、さらなる改訂をおこなうとしているものの、具体的にどの部分が改訂されるのかは不明だ。今後の対応が注目される。