マルチ協力対応・イラク戦争FPS『Six Days in Fallujah』6月22日にSteam早期アクセス配信開始へ。イラク戦争を生々しく追体験する、“幻のシューター”がついに配信


パブリッシャーのVicturaおよびデベロッパーのHighwire Gamesは5月31日、『Six Days in Fallujah』の早期アクセスを6月22日に配信すると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。

『Six Days in Fallujah』はイラク戦争をテーマにした協力型FPS。連合軍兵士として、シングルプレイあるいは仲間と協力しながらファルージャの街を制圧し、反乱軍を包囲してゆく。本作の最大の特徴はプレイごとに変化する市街地だ。建物や敵の配置はアルゴリズムによって生成され、毎回異なるものになる。建物への突入方法やその場で最適な方法を判断する必要があり、突入後の展開は予測が困難だ。その一方で反乱軍はファルージャの街を熟知しており、プレイヤーたちの様子を物陰から伺い、奇襲し、罠におびき寄せてくる。

敵が何人いて、どこにいて、どのような建物にいるのか、実際に建物に入るまで分からない。そのような当時の実際の兵士たちの不利な状況をプレイヤーは追体験することになるとのこと。何が起きるか分からない緊張感あふれる戦場で生き残るには、部隊の仲間との連携が必須となるのだ。

本作のもう一つの大きな特徴は、ゲームプレイパートの幕間に挟まれるドキュメンタリーシーンだろう。『Six Days in Fallujah』が題材にしているのは、実際に2004年にイラク・ファルージャで行われた”夜明け”作戦(Operation Al-Fajr)。本作で描かれる6日間は、その作戦の初期に行われたファルージャ北方面の制圧任務だ。その戦場で起きていた現実をプレイヤーに知ってもらうため、当時作戦に参加していた兵士たちが自身の経験を語る映像が挿入されるという。なお、史実としての“夜明け”作戦は極めて過酷な戦闘になり、連合軍と反乱軍のみならず多くの民間人も犠牲になる悲惨なものだったとされている。

公式FAQでは本作をなぜ作るのか、という問いに「テレビや映画ではなく、実際にその場を体験してもらうことで戦闘を理解してもらい、戦争や我々に関する真実を知ってもらうため」と答えている。本作は”夜明け”作戦で重傷を負った元海兵隊員の発想から生まれ、100人以上の兵士や従軍経験者が開発に協力しているとのこと。ゲーム体験を通じてファルージャの戦闘をリアルに伝えるという思いがあるようだ。

また、本作の企画自体は2009年にされていたものの、兵士の遺族から抗議を受けて開発中止をよぎなくされたという経緯がある。まだ多くの関係者が存命であるイラク戦争。2017年の開発再始動の際には、関係者への配慮をより強く意識する必要があるという事情もあったことだろう(関連記事)。


そうした題材を扱うにあたり、本作の開発にはアメリカ政府は関わっておらず、徴兵に本作が利用される予定はない点などが強調。本作売り上げの一部がファルージャで被害に遭った人々を支援する団体に寄付されるなど、あくまで政治的な意図はなく、戦場にいた人々を描く作品になるとしている。支援先は本作に協力した兵士や従軍経験者、民間人などの協力を得て決定されるという。また、今まで補償が行き届かなかった人に支援が行き届くように尽力すると発表されている。


なお、本作は早期アクセス配信期間として、1年強を見込んでいるという。早期アクセス配信開始時点では連合軍が反乱軍や民間人と遭遇する4人協力ミッションを遊ぶことができるほか、早期アクセス期間中に天候や昼夜の実装、現実にもある特殊作戦部隊の登場、新武器やマップなどの要素を追加していくという。また、指示を出せるシングルプレイ用のAIキャラクターや、ステージに登場する民間人キャラクター、史実に基づいたストーリーがあるキャンペーンモードの一部などが逐次実装されていくそうだ。

『Six Days in Fallujah』は6月22日にSteamにて早期アクセス版が配信予定。