『ディアブロ 4』開発者インタビュー企画にて、“ユーザーからの質問”がねつ造され批判渦巻く。企画側は謝罪
海外メディアが『ディアブロ IV』の開発者に対し、“ユーザーからの質問”に基づいたインタビューを実施して動画を投稿。このインタビューにおけるユーザーからの質問が“偽物”であったとしてユーザーの批判が渦巻き、同チャンネル運営チームが謝罪をおこなっている。
『ディアブロ IV』は、アクションRPG『ディアブロ(Diablo)』シリーズの最新作だ。6月6日に発売予定。開発はBlizzard Entertainment(以下、Blizzard)が手がけている。本作ではシリーズで初めてオープンワールドのマップが採用され、プレイヤーはドルイド・ローグ・ソーサレス・バーバリアン・ネクロマンサーといったキャラクタークラスから選択し、サンクチュアリの各地を旅しながら地獄の軍勢と戦う。
発売が近づくなか、海外メディアGamesRadar+が運営するショーケースイベントFuture Games Show(FGS)のYouTubeチャンネルにて、本作の開発者へのインタビュー動画が投稿された。本作のアソシエイトゲームディレクターを務めるJoseph Piepiora氏およびアートディレクターのJohn Mueller氏に対して、SNSユーザーから寄せられたとされる複数の質問が投げかけられている。
一方、この動画における“ユーザーからの質問”はねつ造ではないかとの指摘が投じられることになった。TwitterユーザーのPhiltacular氏は、動画で質問を寄せたとされているTwitterやRedditユーザーのIDを調査。結果を見ると、今月作られたばかりのアカウントが複数存在することが確認できる。また中には、2010年2月以来ツイートがなくフォロー数1人/フォロワー数0人のほとんど利用された痕跡が見られないアカウントも含まれている。インタビューの質問準備のためにアカウントを自作した、あるいは非アクティブなアカウントのIDを借りたとの見方もできるわけだ。その場合、質問内容もユーザーの生の声を装って用意されていた可能性も生じる。
そうした指摘もあり、ユーザーの声を装った“偽の質問”ではないかと疑いを抱いた視聴者たちにより動画のコメント欄などではFGSおよびBlizzardへの批判が渦巻いている。この状況を受け、FGSの運営チームにより動画コメント欄に声明が投じられた。声明によると、今回開発者に訊いた質問にはユーザーからの質問とFGSの編集チームからの質問が混在していたとのこと。ユーザーやFGSの編集者には匿名を希望する者もいたため、ユーザー名と投稿されたプラットフォームが変更されたという。
FGSの声明いわくユーザー名にはランダムに生成された名前が用いられたそうだが、そのうちのいくつかは動画とは無関係の実在アカウントと一致してしまったとのこと。また声明では、動画内でこのことが明記されておらず混乱を招いたことに対して謝罪が述べられている。なおActivision Blizzardおよび『ディアブロ IV』の開発者はこれらの質問を事前に確認しておらず、インタビュー中に初めて知らされたとされている。
現在では動画タイトルも改題され、当初の「『ディアブロ IV』開発者がユーザーの質問(YOUR Questions)に回答」から「『ディアブロ IV』開発者インタビュー」に変更。あわせて動画サムネイルも変更されているそうだ。
なおこうした事態が起きた原因について、海外メディアBloombergのJason Schreier氏が示している。同氏はFGSのTwitterアカウントの5月13日の投稿を引用。FGSはこの投稿で『ディアブロ IV』開発者に対する質問を募集したものの、少なくともツイートへのリプライにはユーザーからの質問がひとつも集まらなかった様子だ。
『ディアブロ IV』の発売が近づくなかで投稿された今回の開発者インタビュー動画。FGSは声明にて、インタビュー内に少なくとも編集チームによる質問が含まれていた点を認めており、動画内にユーザーの声を装った質問があった点は確かだ。声明に対しては、匿名希望者からの質問をそのまま匿名扱いで取り上げず、無関係または架空のSNSユーザーに仕立てた点が新たな批判を呼んでいる状況にある。
またFGSの編集チームが用意した質問が、開発者が答えやすい穏便な内容ばかりであるため、Blizzard側の操作も疑われている。可能性としては、FGS側がインタビューを用意したにもかかわらず質問が寄せられなかったことで、メーカーに配慮した質問を考案したことなどが考えられる。いずれにせよ、FGSのインタビュー動画は、『ディアブロ IV』発売を目前にユーザーに混乱を巻き起こす結果となった。