AIが解いてくれる『マインスイーパ』無料公開。楽しい作業はAI任せ、人間の役割は“最後に責任を取る”だけ

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開発者のYusuke Endoh氏は5月29日、『Minesweeper spoiled by AI』をGitHubにて無料公開した。AIと人間の関係を『マインスイーパ』で表現した作品だという。

『Minesweeper spoiled by AI』は、アルゴリズムが半自動でプレイしてくれる『マインスイーパ』だ。プレイヤーが開いたマスの情報から、アルゴリズムは地雷があるかないかを論理的に判断。判断可能なマス目はすべてアルゴリズムによって自動で開かれる、または地雷があることを示す旗が立てられる。

逆にいえば、プレイヤーは論理的に判断不可能なマス目を開く必要がある。いわば“運が絡む”操作をすべておこなう必要があるわけだ。Endoh氏は本作を「楽しい単純作業はAIに奪われて、人間の仕事は責任をとることだけ」になるゲームと表現している。

本作には「The International Obfuscated C Code Contest(IOCCC)」にて2020年に入賞したEndoh氏の作品「Most explosive」とほぼ同じアルゴリズムが用いられているという。IOCCCとは、もっとも“読みにくい”C言語プログラムを作成することを競うコンテストだ。同コンテストでは読みにくさとアート性を高めるため、プログラムのコードをアスキーアートにする作品が多く見られる。「Most explosive」も『マインスイーパ』の地雷を模したアスキーアートのコードで構築されていた

『Minesweeper spoiled by AI』は「Most explosive」をJavaScriptに移植した作品だという。Endoh氏の知人が「Most explosive」を“当面想定されるAIと人の関係を象徴する作品になりそう”と評したことが移植のきっかけになっているそうだ。

GitHubにおける『Minesweeper spoiled by AI』の説明にも、近未来のAIと人間の関係を象徴するものとして本作が作られたことが述べられている。Endoh氏は、近年ではAIが人間から文章を書いたり絵を描いたりプログラミングをしたりといった楽しい仕事を奪いつつあると説明。同氏は、人間の新たな役割は責任をとること、つまりAIの出力した結果を検証して最終的な判断を下すことにあるとしている。同氏は『Minesweeper spoiled by AI』にて、この関係を『マインスイーパ』で表現したという。

なお『Minesweeper spoiled by AI』におけるアルゴリズムは、論理的に解ける部分を解かないこともあるという。これは、本アルゴリズムでは、3つ以上の数字マスからの推論や残りの地雷の数から総合した推論が不可能なためだそうだ。またEndoh氏はこれを“AIの不完全さ”を表す意図的な設計であるとも述べている。AIが出力したものには、検証や妥当性の確認、修正には人間の知性が必要であるとの考えを反映する仕組みでもあるという。

ちなみにEndoh氏のもとには『Minesweeper spoiled by AI』はAIではなくアルゴリズムではないか、との指摘が多数寄せられたという。これを受けて大規模言語モデルを用いた対話型のサービスChatGPTに「『マインスイーパ』を半自動で解くプログラムはAIといえるか」を訊いたところ“AIといえる”との答えが返ってきたとのこと。少なくともChatGPTは『Minesweeper spoiled by AI』をAIと見なしているといえる。またいずれにせよ、AIと人間の関係を表現する作品として意義があるだろう。

『Minesweeper spoiled by AI』はGitHubにて無料公開中だ。

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