『メタルギアソリッド3』リメイクのボイスは「すべて当時のまま」と公式が強調。キャスト交代はなく、新録もなさそう
コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)は5月25日、リメイク作品『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER(以下、MGSΔ)』のストーリーやキャラクターボイスについて、「当時のままとなっている」と発表した。本作は『メタルギアソリッド3 スネークイーター(以下、MGS3)』のリメイク作品として、キャラボイスの変更や新録の有無などが話題となっていた。
オリジナル版となる『MGS3』は、小島秀夫氏が手がけた『メタルギア』シリーズの作品だ。本作では東西冷戦の時代を舞台に、新型兵器の破壊と重要人物の抹殺司令を受けた「ネイキッド・スネーク」の戦いが描かれる。自然多きロケーションでのステルスアクションや、動物や植物を手に入れて食すシステムなどが特徴的なほか、重厚なストーリーは多くのファンの心を打った。
また声のキャストとしては、ネイキッド・スネークをお馴染みの大塚明夫氏が担当。そしてザ・ボス役の井上喜久子氏やヴォルギン役の内海賢二氏をはじめとして、錚々たる顔ぶれが出演していた。リメイク版となる『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』では、そうしたキャストの声が声優変更なくふたたび聞けるのか、そして新録ボイスなどがあるかについても、ユーザーの関心が寄せられていた。
そうした中、『メタルギア』シリーズ公式Twitterアカウントは5月25日、『MGSΔ』のキャラクターボイスについて「全て当時のままとなっています」と告知した。注目したいのは「当時と同じキャスト」ではなく「当時のまま」と表現されている点である。これは、「当時の音声をそのまま利用している」と解釈できるだろう。そして、この一文からは、『メタルギア』シリーズにまつわる背景やファン感情への意識も感じられる。
というのも、『メタルギア』シリーズにおいては、クリエイターの小島秀夫氏の処遇を巡る騒動などが起きていた。小島氏は、コナミにて同シリーズを手がけ、途中からはコナミ内の開発チーム小島プロダクション(旧)を率いて開発に臨んでいた。しかし、2015年発売の『メタルギアソリッドV ファントムペイン』を最後に同氏はコナミを離れた。
小島氏のコナミ退社の際には、退社の実情を巡ってさまざまな噂が飛び交うことに。また、小島氏の盟友であり、スネークを演じる大塚明夫氏が「コジプロは解散させられてしまった」と発言し注目を浴びるなど、関係者の発言にも関心が寄せられた。小島氏や『MGS3』のキャスト陣および現在のコナミが、お互いをどのように認識しているかは定かではない。しかし、当時の経緯を見守ったファンたちとしては、リメイク版『MGSΔ』において“キャラボイスがどうなるか”は強い関心ごとだったわけだ。
そうした疑問はTwitter上でも数多く投じられていた。また「新しいまったく別のキャストが声をあてるのでは」との疑問も寄せられていた。今回、『メタルギア』公式アカウントが投稿したのは、そうした疑問に対する回答なのだろう。今回のツイートにて、新キャストへの交代はなく、また新録ボイスはないとの旨が改めて強調されたかたちだ。
また、本作においてはシギント役の藤原啓治氏が2020年に逝去。上述のヴォルギン役内海賢二氏も、2013年に亡くなっているなど、鬼籍に入っているキャストも複数。そうした声優陣の名演を保存する意味でも、当時の音声そのままでのリメイクは自然な流れではあるだろう。
【UPDATE 2023/5/25 18:15】
亡くなられている出演者について補足
『メタルギア』シリーズについては、小島氏のコナミ退社以来、スピンオフ作品を除いて長らく展開がなく、過去作品は対応機種の旧式化により遊ぶのが困難になる一方だった。今回『MGSΔ』とともに『メタルギアソリッド』マスターコレクションも発表され、PS5向けに『メタルギアソリッド』シリーズが展開されることが明らかに。喜ばしい知らせである一方、上述のような経緯もあり、一部ファンたちは複雑な思いを抱え続けている。『MGSΔ』がどのように新規プレイヤーやファンに受け止められるかも、注目されるところだろう。
『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』は、PC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S向けにリリース予定。
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