『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のグラフィックについて、“AIに直してもらってはどうか”とふざけ提言したベテラン開発者に批判集まる。悪気はなかったとして謝罪

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のグラフィックについて、ゲームクリエイターのDavid Jaffe氏が批判。それに絡めて本作を“AI修正した”などとする画像をあげ、ファンの批判を浴び謝罪するに至る一幕があった。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の一部グラフィックについて、ゲームクリエイターのDavid Jaffe氏がTwitter上で批判。それに絡めて本作を“AI修正した”などとする画像をあげ、ファンの批判を浴び謝罪するに至る一幕があった。

David Jaffe氏は『Twisted Metal』シリーズや『ゴッド・オブ・ウォー』初期作品のゲームディレクターなどを務めたことで知られるゲームクリエイター。1990年代から2000年代にかけて精力的にゲーム制作に携わっていた。2010年代以降も散発的にゲーム制作に関わっているものの、現在は主に自身のYouTubeチャンネルにおける配信が活動の中心だ。

そんなDavid氏は5月12日、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のグラフィックについて突如批判を展開。本作の出来については称賛しつつも、1枚のスクリーンショットを提示して「多くのユーザー評価やレビュー内容がグラフィックの汚さに触れられてなくて驚く」といった趣旨の主張を展開した。人気タイトルのグラフィックを名指しで批判したことで、David氏に否定的な意見が投じられた。一方でDavid氏は、後のツイートにて同様の主張を繰り返しつつ「あくまでも自分の意見である」と強調、一般と自分の評価の乖離について、議論の価値があると問題提起していた。

しかしDavid氏は、後に火に油を注ぐ投稿することになる。5月18日、同氏は突然「AIにきれいにしてもらった」として、『ゼルダの伝説』風の画像を投稿。「誰かこれを任天堂に送って、アートのやり方を教えてやってくれ」とのコメントを投じたのだ。グラフィックへの批判や議論の範疇を超えて、制作陣への侮辱とも取れるこの投稿には、以前にも増して激しいユーザーの反発が寄せられた。

そうした批判を受けてDavid氏は「みんな呆れ返って“黙れクソジジイ”で済ますと思っていた」と反応。軽い悪ふざけだったとしている。しかし、任天堂や開発陣に直接向けた皮肉を投稿した以上、彼の立場や意図がどうあれ、多くの人の怒りを買うのは当然といえるだろう。翌5月19日、David氏は「ZELDA & METROID FANS: I am sorry.」という動画で謝罪と釈明をした。David氏は2021年にも『メトロイド ドレッド』の批判をして物議をかもしたため、そちらの謝罪もかねた形になる。

David氏は作品を愛する人々を傷つける意図はなく、失礼なことをしたと陳謝した。一方で、本作のグラフィックがところどころ醜い(ugly)という意見を変えるつもりはないが、全体としてはアートスタイルもゲームそのものも好きだともコメント。作品を愛したうえで分析と批判はできると、あくまで本作に対する悪意はないと強調した。

歯に衣着せぬ物言いのほか、過激な発言で批判を呼んだDavid氏。普段から噂話や過激発言が話題になる、お騒がせな人物でもある。しかし、過去の配信やツイートでは時にぶっきらぼうながら率直に意見を述べ、ユーザーと細かくやりとりをする彼の姿を見ることができる。また、YouTubeチャンネルでは、ほかのゲームクリエイターを招いての本音をぶつけ合うトークも特色だ。その様子を見ると、本作のグラフィックについて議論をしたいというのも同氏の本音ではあるのだろう。一つの祠の攻略に一日を費やすなど、本作も楽しんでいる様子である。

とはいえ、おふざけ半分のAIによるビジュアル改善提案は、開発者への敬意に欠ける。批判もひとつの意見とはいえ、お騒がせ人物であったにせよ、意見表明においてはマナーを守ってほしいところだ。

Rikuya Melichar
Rikuya Melichar

ゲームだいすき。独特の世界観や没入感があるゲームが好きで、気付いたら流行りのゲームを尻目にずっと遊んでたりします。

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