『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』“あぶない看板男”カバンダくん、プレイヤーたちのオモチャになる。許されザル行為のオンパレード


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて、NPCである「カバンダ」が奇妙な人気となっている。道中しばしば遭遇する彼から大切なものを奪い去る行為がおこなわれているほか、プレイヤーによって彼への印象もさまざまだ。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、ティアーズ オブ ザ キングダム)は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、ブレス オブ ザ ワイルド)の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。

リンクの冒険の道中には、さまざまなNPCたちが登場する。印象に残るクセのあるキャラクターも多く、また、位置が固定ではなくさまざまな場所に出没するNPCもいる。そうしたNPCのひとりが、カバンダだ。


カバンダは、エノキダ工務店の看板を立て続けるNPCだ。エノキダ工務店は、エノキダ社長が立ち上げた施工会社。同社は、家などの建築も手がけているほか、災厄に見舞われたハイラル全土に建材を供給するなどの活動もおこなっている。カバンダは、エノキダ社長から「特別任務を任された」と語り、エノキダ社長が描かれた看板をハイラル中に立てるべく奔走している。ただ、カバンダの立てようとする看板はなぜか不安定。プレイヤーは支えのモノなどを置き看板を立てさせることで、カバンダからルピーなどのお礼を得ることができる。

ただ、カバンダは普通ではない。エノキダ社長にあまりにも心酔しすぎており、行動が常軌を逸しているのである。たとえば、初遭遇時に看板を取り落としたカバンダは「社長ッ!エノキダ社長!大丈夫ですか!?」と取り乱し、その後「倒してしまって申し訳ありません」と謝罪する。ようするに、看板のことをほとんどエノキダ社長本人だと思いこんでいるのだ。看板を立てるには、看板をいったん倒すしかない。しかし彼は看板が倒れると「許されザルことだ!」と激昂するほど、社長(が描かれた看板)を大切にしている。そのため、彼はハイラルのどこかで、地面に倒さぬよう一途に“社長”を支え続けているのである。


そんなカバンダの強烈なキャラクター性に対して、プレイヤーの接し方もさまざまとなっている。たとえばカバンダが大切にしている看板そのものを、カバンダからひったくろうとする者たちがいる。しかし、カバンダの握力と意志は強い。看板をロケットで推進しようと、殴りかかろうと燃やそうと悲鳴をあげながらも看板を支え続けるのだ。足から根が生えているかのような粘り強さだ。

しかし、カバンダは「看板から手を離してみろ」と伝えると素直に手を離す。そのため、カバンダから解き放たれた看板は、プレイヤーたちがそれぞれ試行錯誤して組み上げた「看板ブッ飛ばし装置」により猛スピードで飛んでいくことになる。カバンダはその際、「許されザルことが起きてしまった!(英語版:Unforgivable!)」とお決まりのセリフを絶叫。ただ、カバンダは看板をどれだけ遠くへ引き離しても平気で回収して戻ってくるため、心配はないだろう。ほかには、カバンダを板組みの箱の中に閉じ込めてみたり、敵を誘導してきて盾として利用してみたりするユーザーも見られる。

ほかには、カバンダに対する印象もプレイヤーによってかなり差があるようだ。Reddit上では、「カバンダ(Addison)のように支えてくれるパートナーを見つけなさい」といったネットミームがにわかに注目される一方、「カバンダは少しウザくない?」といった意見も投じられている。しかし、カバンダを助けた際の報酬が労力に対してやや多めとの認識が主流であり、彼を好意的に見ているユーザーが多いようだ。

一方で、TwitterといったSNS上で国内ユーザーの反応を見ると、だいたいカバンダは「あぶないヤツ」扱いである。また、「彼がくれるおにぎりを食べたくない」といった意見も散見。カバンダ本人がそんな意見を見たら、どれだけ悲しむだろうか。あるいは、エノキダ社長さえ微笑んでくれれば彼は幸せなのかもしれない。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は好評発売中。カバンダは、ハイラルほぼ全域であなたを待っている。




※ The English version of this article is available here