お笑い芸人コンビのカミナリ、『スーパードンキーコング』の音楽が好きすぎてイギリスに行き作曲家を突撃。とげとげタルめいろなどへの愛がすごい
『スーパードンキーコング』シリーズの人気曲を手がけた、元レア社所属の作曲家デビット・ワイズ氏(以下、ワイズ氏)。そんなワイズ氏を好き過ぎるあまり、イギリスまで行った芸人コンビが今話題となっている。そのコンビとは、カミナリだ。カミナリは5月13日、自身のYouTubeチャンネルにてワイズ氏とのインタビュー動画を投稿したのだ。
カミナリは、石田たくみ氏(以下、たくみ氏)と竹内まなぶ氏(以下、まなぶ氏)によるグレープカンパニー所属のお笑いコンビ。茨城県鉾田市出身の幼馴染同士で、M-1グランプリ2016、2017にてファイナリストに進出。すっとぼけるまなぶ氏に、激しく叩き叫ぶたくみ氏。訛りの強い軽妙なやりとりを、見たことがある人も多いだろう。現在テレビ番組などで著しい活躍をする2人だが、今盛り上がっているのは彼らのYouTubeチャンネル「カミナリの記録映像」だ。
カミナリの記録映像は「カミナリの2人が今“やりたいコト”だけをただただ記録映像として残すだけ」を掲げて活動しているYouTubeチャンネル。2人の趣味などを押し出した非常に自由なチャンネルとなっており、その中でも人気なのがたくみ氏の趣味であるゲームに関する企画だ。「コンビの絆を確かめるマリオ実況」や「スーパーファミコンの中古ソフトから非公認ソフトを探し出す」など、一般的な芸能人のゲーム実況より趣向を凝らしたような内容の動画を多く投稿している。そのゲーム企画の1つとして始まったのが「スーパードンキーコングのBGMをじっくりと堪能したい」シリーズである。
本企画は、たくみ氏が幼少期に遊んだ『スーパードンキーコング』シリーズのお気に入りのBGMを堪能したい!という個人的な願望から始まった。『スーパードンキーコング』シリーズといえば、スーパーファミコン往年の名作だ。ゲームデザイン・グラフィック・サウンドは当時としては極めてハイレベルで、その中でもステージの環境を美しく演出するBGMは未だに熱狂的なファンを抱えるほど大人気。公式サウンドトラックは、どの作品も絶版となっており、今現在プレミア価格で取引されている。もっとも高く評価されているのが、ワイズ氏がすべての作曲を担当した『スーパードンキーコング2』のサウンドトラックで、Amazonでは中古価格で最低30万円にて取引されている(本稿執筆時点)。
たくみ氏は、幼少期に衝撃を受けたワイズ氏の音楽をたっぷりと聴いて楽しみたいと考えた。そして相方であるまなぶ氏に『スーパードンキーコング』シリーズを遊んでもらって、そのBGMを1人でゆっくりと楽しむ企画を発案するに至ったのだ。しかし『スーパードンキーコング』シリーズといえば、その難易度の高さでも有名な作品。ゲーム慣れしていないまなぶ氏は何度もミスを連発し、ゆっくりと楽曲を楽しみたいたくみ氏をイライラさせる。その漫才のような軽快なやり取りとゲーマー向けのコアな内容を取り上げる姿勢が反響を呼び、同動画のYouTubeでの再生回数は本稿執筆時点で50万回以上を記録している。
その反響を受け、単独ライブ「カミナリの記録ライヴ」にて、「スーパードンキーコングのBGMをじっくりと堪能したい」を、なんとライブ会場で実施。会場にはカミナリファンだけでなく、ゲームファンが訪れ、盛り上がりを見せていた。その単独ライブ内で、ワイズ氏の事務所があるイギリスまで渡航。ワイズ氏にアポなしで訪問して、同コンビのYouTubeチャンネルのOPテーマを作ってもらおうという企画を発表することとなったのだ。
5月5日に投稿された動画では、カミナリがイギリスに向かい、ワイズ氏に会うまでの過程が映されている。動画内ではたくみ氏がパッケージにサインをしてもらうために、『スーパードンキーコング2』を購入した話や、ワイズ氏への質問を考える姿などが見られた。そして動画後半では、ワイズ氏の事務所に到着、事務所のベルを鳴らすものの不在であったため、一度撤収していた途中で、なんと道を歩いているワイズ氏と遭遇。すぐにコンタクトを取り、近くのカフェで待ち合わせをするというところで、動画は次回へと続いた。
そして本題の5月13日に投稿された動画では、ワイズ氏にカフェで待ち合わせたところからスタート。30分と限られた時間であったが、『スーパードンキーコング』シリーズの作曲秘話や、作曲家としてのエピソードなどインタビューがおこなわれた。
たくみ氏が好きなBGMである「タルタルこうざん」、「とげとげタルめいろ」への思い入れを伝える場面や、ワイズ氏がカミナリにした“とある提案”まで、見どころ満載。本来の目的であるYouTubeのオープニングを作ってもらうという目的は果たせたのだろうか。そちらはぜひ動画を見ていただきたい。
お笑い芸人コンビが、ゲーム音楽について語るというのもやや珍しいが、そのままライブでの同様のアクティビティをし、作曲家に会いにイギリスに行くというのが面白い。当然、再生回数が回っており人気コンテンツであることを踏まえての一連の行動かと思われるが、カミナリ・たくみ氏の強烈なゲーム音楽愛、その愛を誠実に受け止めるまなぶ氏の、人間的魅力も伝わってくるだろう。あるいは、カミナリの突撃に対して丁寧に接するワイズ氏の人柄の良さも感じられるかもしれない。いずれにせよ、ワイズ氏が日本向けコンテンツに登場するという歴史的な資料としても価値ある動画となった。
ワイズ氏へのインタビューや、「スーパードンキーコングのBGMを堪能する」シリーズは、カミナリの記録映像にて配信中。新企画として「ゲームに隠れるけけソングを探せ!」などゲーマー向けのコアな企画もスタートしているため、今後ますます目が離せないチャンネルになるだろう。
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