『ストリートファイター6』の”視覚情報なしで対戦できる機能”に全盲プレイヤーが協力していた。ePARAがサポート

株式会社ePARAは5月1日、カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』について、本作に導入されるサウンドアクセシビリティの改善に協力したことを明らかにした。

株式会社ePARAは5月1日、カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』について、本作に導入されるサウンドアクセシビリティの改善に協力したことを明らかにした。

ePARAは、年齢・性別・時間・場所・障害の有無を問わず参加できる環境の下おこなわれるeスポーツであるバリアフリーeスポーツ事業や、障害者の就労支援事業などをおこなっている企業。これまでには、視覚情報を一切使用せずに音声だけで状況を判断して戦うeスポーツイベント「心眼CUP」を、『ストリートファイターV チャンピオンエディション』を用いて開催した実績もある。

『ストリートファイター6』では新たな試みとして、視覚情報を用いずに対戦が可能となる、さまざまなサウンドアクセシビリティが用意されている。昨年実施されたクローズドβテストの段階ですでに実装され、当時にも一部で注目された機能だ(関連記事)。また、現在各プラットフォームにて配信中の体験版でも利用可能。用意されたサウンドアクセシビリティの設定項目は以下のとおりである。

◇対戦相手との距離お知らせSE
◇めくり攻撃ヒット記号SE
◇上中下段攻撃ヒット記号SE
◇体力・SAゲージ残量通知SE
◇ドライブゲージ状況通知SE
◇SAゲージ使用サイド通知SE
◇セレクト時のナレーション再生方式

各SE設定に関してはON/OFFを切り替えることができ、(ステージおよびキャラクター)セレクト時のナレーション再生方式は決定ボタン押下もしくはカーソルオンを変更可能。また、体力・SAゲージ残量通知SEについては、アシストサウンドに設定されたボタンを押すことで、SEで通知される。

たとえば対戦相手との距離お知らせSEに関しては、ゲームプレイ中に絶えず鳴っている音の高さと間隔が、対戦相手との距離に合わせて連続的に変化。離れているほど音は低く間隔は長くなり、接近すると逆に音は高く間隔は短くなる。また音の種類を変えることによって、自キャラが対戦相手の左右どちら側に立っているのかも判別できるようになっている。実際のプレイの様子は上の動画を確認してほしい。

『ストリートファイター6』にてePARAは、本作のサウンドに関するレポート業務を受託し、障害当事者の主導の下でサウンドに関する助言レポートをおこなったという。その際には、全盲の3人のプレイヤーが実際に本作をプレイし、サウンドアクセシビリティを分析したとのことである。今回の発表に合わせてカプコンは、「スト6のサウンドアクセシビリティ機能は、ePARAさんに協力いただき素晴らしい内容になりました」「ePARAのみなさんとサウンドチームによる努力と挑戦の結果です」とコメントしている。

ちなみに、似たような取り組みは先日マイクロソフトからも発表されていた。今年発売予定のレースゲーム『Forza Motorsport』には、全盲を含む視覚障害者向けの「Blind Driving Assists」なる設定が用意され、音声にてプレイヤーをサポート。コース上での車両の位置や向き、コーナーへのアプローチ状況、シフトチェンジのタイミングなど、さまざまな情報が提供されるとのこと。同機能においても、視覚障害者やそのコミュニティの協力を得ながら開発されているそうだ。

『ストリートファイター6』は、PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox Series X|S向けに6月2日発売予定だ。




※ The English version of this article is available here

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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