カプコンは4月29日、「CAPCOM eSports」Twitterアカウントにて『ストリートファイター6』のクローズドβテスト版を「不正に遊ぶユーザー」に対して、改ざんされたソフトのプレイや所持が確認できた場合に厳重な処罰を下すと発表した。
『ストリートファイター6』は6月2日にPS4/PS5/Xbox SeriesX|S、PC(Steam)向けに発売予定の格闘ゲーム。発売に先んじて2022年10月と12月にそれぞれ72時間限定のクローズドβテスト(以下、CBT)がおこなわれ、現在は体験版が配信中だ。
今回のカプコンの声明によれば、第二回CBTの募集ページによれば、CBTは「参加者のプレイ体験をチェックし、発覚した問題の修正やクオリティの向上を目的として」開催されたものだ。新キャラを含む8体のキャラクターが使用可能で、配信時はオンライン対戦にも対応していた。一方で、現在配信されている体験版で使用できるキャラクターは主人公のリュウとルークのみでありその差は大きい。
しかし、CBTがおこなわれて間もなく、βテスト用のゲームクライアントがクラッキングされ、72時間のテスト期間を過ぎたあともトレーニングモードなどを遊べる仕様にされて配布されているとの報告があがっている。それによりクラック版利用者が、正規体験版では操作することのできない一部キャラクターの練習もできる状況があるようだ。
こうした行為に対したびたびプロ選手やプレイヤーたちは苦言を呈してきた。CBTのエントリー規約に反する可能性が高いのみならず、今年開催される賞金100万ドルのCAPCOM CUP Xにて、クラックされたCBT版『ストリートファイター6』を不正にプレイし続けたプレイヤーたちが、不公平なアドバンテージを得るのではないか、という懸念があるからだ。また、クラック版が存在することで、なんら不正無く優勝した選手に対して「クラック版で練習してたのではないか」と疑いの眼差しが向けられる事態にもなりかねない。現状でも、プロプレイヤーのももち選手が、配信中にユーザーから「クラックを利用している」との濡れ衣を着せられた出来事を報告している。
こうした事態を受けてか今回、カプコンは同社のeスポーツ関連Twitterアカウントにて、クラック版CBTソフトへの厳粛な対応について告知。クラック版CBTソフトを期間外に遊ぶのはCBT募集概要で禁止されており、Capcom Pro Tourの行動規範に反する行為でもあると声明を発表した。声明の公開以降もクラック版の所持、プレイをしていることが確認されたユーザーは、カプコンが関わる『ストリートファイター』関連の大会への無期限出場停止などの「厳重な処罰」がくだされるとした。
クラック版CBTソフトについては一定期間出回っていると見られ、競技シーンや大会への影響も懸念される。そうした背景もあり、今回カプコンがクラック版利用者に対しての姿勢を明確にしたかたちだろう。CAPCOM CUP Xに向けてクラック版問題がどのように波及するかも注目される。